ミズーリ州セントルイス在住、2児の母であるElizabeth Marek氏は、再発膠芽腫(Glioblastoma) として知られる致命的な型の脳腫瘍に罹った。これは治療法が無く診断後の余命は2年である。Elizabeth がひどい頭痛を訴え始めた後、小さな脳腫瘍が見つかった。そして、ワシントン大学の外科医が緊急手術で腫瘍を摘出した。結局、脳腫瘍は再発し、その際、医者は彼女に『科学実験』への参加を希望するかについて尋ねた。現在、Marek 氏は電界でがん細胞を攻撃するデバイスによって生命をつないでいる。ロイターNews によれば「George Ansstas 医師は、米国拠点のがん研究所Novocure 社が開発したOptune と呼ばれるデバイスをMarek 氏に取り付けた。背中に背負ったリュックからMarek 氏の頭に取り付けた電極アレーに電圧を送る。電極は脳内に電界を作り出し、がん細胞の分裂を止める」という。
「細胞には、分裂する際に役割を果たす高電荷粒子があり、この細胞を電磁界に曝すと分裂を中断させ、細胞を死に導くかもしれない」と、Ansstas 医師は説明した。Marek 氏はこのデバイスを1年以上装着し、良好な結果を示している。「このデバイスを使用してから2週間後に最初の結果が得られ、腫瘍サイズが30% 縮小した」とMarek 氏は言う。臨床試験では、Optuneは平均で3ヵ月間、患者の寿命を伸ばした。また、2年後の患者生存率は43パーセントであった。臨床試験の結果は6月にシカゴで行われたAmerican Society of Clinical Oncology 年次総会で発表された。このデバイスは、成人のGlioblastoma を治療するために、米国食品医薬品局(FDA) の承認を取得。約2千人の患者が現在これを使用している。なおOptune は日本でも2015年3月、厚生労働省認可を取得している。
詳細は下記のウェブへ。(2015/06-04)
- ロイター
- Optuneのサイト(日本語)
- 厚生労働省(PDF)