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携帯電話は、人間の健康に有害か?

携帯電話や他の電子デバイスから放射された無線周波数の電磁波は、健康不安を危惧するトピックスとして依然、議論の対象である。携帯電話は、低レベルの非電離放射線を発生している。VOA News によれば、今まで「これらのデバイスの健康影響に関する広範囲な研究は、不確定な証拠を示すだけだった」という。無線機器産業などの専門家は、電子機器が危険であるとは思っていない。「携帯電話で発されるRF エネルギーが原因となる既知の健康リスクを示す科学的な証拠はない。FDA が自身のウェブに掲載しているように『携帯電話と健康問題を関連づける重要な科学的証拠はなかった』と、VOA News も報じている。だが、無線協会CTIA (Cellular Telecommunications &Internet Association ) はTECHtonics とのインタビューを断ったものの、さらなる研究をサポートしている。「現在、広範囲の公衆衛生団体・機関が利用できないような、文書で十分裏付けられたこの分野の知識を持っている人や組織はすべて、該当組織・団体に情報を公開して専門家に確認してもらうよう助言したい」とCTIA は述べている。
 業界のすべての専門家と組織の意見が、一致しているというわけではない。国際がん研究機構(IARC: InternationalAgency for Research on Cancer) は、携帯電話から放射される電磁界を人間に対し発がん性のあるものとして分類している。VOA News によれば、IARC は「無線周波数電磁界の暴露に対する全研究健康結果に対して2016年までに正式なリスク評価を実行する」という。他の健康擁護団体と消費者も、携帯電話が人間の健康に有害であると考えている。携帯電話を長時間、頭部の近くで保持する場合、組織加熱作用を引き起こし、その結果、脳腫瘍になると信じている人さえいる。多くの他の専門家が主に長期の影響(がん) に焦点を当てているが、Universityof S ou t he r n Cali fo r n i a n’ s Kec k School of Med ici ne のInstitute for Global Health の理事Jonathan Samet 医学博士は、電磁波放射の短期影響について触れている。「電磁波放射の健康リスクを心配する人々は、より長期の暴露に対する病気の危険だけでなく短期暴露の影響もあると言う。例えば睡眠や心拍リズムなどに対し起こりうる影響について問題視するだろう。しかし、科学的な証拠のほとんどは長期間の発がんリスクにフォーカスしている」とSamet 氏は話す。「マイクロ波を使う場合、それはものを熱するのに十分なエネルギーがある非電離放射線の形である。そして、この種の放射線物理学を理解している人ならたいてい、組織を本当に加熱するのに十分なエネルギーはないと言うだろうが、携帯電話ではいくばくかの加熱作用が起こる可能性がある。より高い周波数電離放射線と異なり、直接DNA を損傷させるとは思わない。また、それはがんに至る電離放射線によるDNA への直接的な損傷である。紫外線電離放射線は化学結合を壊して癌を発生させ、他に影響するのに十分なエネルギーを発生させることができる」と、Samet 氏は付け加えた。
 健康に危害を及ぼす可能性のある対象に対し、すでに行動を起こした団体もある。カリフォルニア州 バークレーの市議会は最近、携帯電話を人体からどのくらい離すかについて小売業者が消費者に知らせることを義務づける法律を可決したと、VOANews は報じた。組織や専門家は今後も携帯電話から発される電磁波放射暴露の長期影響を引き続き研究する。
 詳細はVOA Newsのウェブへ。(2015/06/04)