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アクロマティックメタレンズを3Dプリント

November, 1, 2022, Leibniz--3Dプリンティングにより、コンパクト、柔軟なファイバ設計が、効率的な合焦と鮮明な画像を確実にする。
 韓国、オーストラリア、グレートブリテン、Leibniz Institute of Photonic Technology (Leibniz IPHT)が参加するドイツの学際的研究チームは、異なる波長の光が極めて正確に焦点を合わせることができるように光ファイバを初めて最適化できた。正確さの水準は、ファイバ端に適用された光学レンズの3Dナノプリンティングによって達成される。これは、顕微鏡や内視鏡、レーザ治療やセンサ技術に新たな可能性を開く。研究チームは、成果をNature Communicationsに発表した。

現在、医療診断用に内視鏡で使われているファイバ端のレンズには、色収差のデメリットがある。異なる光波長、即ち異なるスペクトルカラーが様々に成形、屈折されることによって起こるこのオプティクスの結像誤差は、焦点ズレとなり、したがって幅広い範囲の波長でイメージングのボヤケとなる。色収差補正レンズは、この光学的収差を最小化し、改善する。

正確な集光のためのメタレンズ
そのような色収差補正レンズ、いわゆるメタレンズは、光ファイバ端に取り付けられ、被写界深度イメージングで集光し、微細部分のイメージングを可能にする。これが、今回、国際チームにより初めて実現された。「理想的な光成形、色収差補正集光のためにわれわれは、超薄ポリマベースのレンズを実現した。これは、ナノピラーの形で、複雑な設計の幾何学的構造で構成されている。この構造は、商用光ファイバ端の片端に3Dプリントされた中空タワー構造の先端に直接プリントされた。この方法で光ファイバは、焦点に非常に効率的集光できるように機能化でき、高分解能画像の生成が可能になる」とLeibniz IPHTファイバフォトニクス部長Dr. Markus Schmidtは説明している。同氏は、その光学レンズを共同開発した。

研究チームが実現したメタレンズは、100µm径、NA 0.2である。これは、以前に光ファイバ端で使用されていたレンズと比べて大幅に高いNAであり、したがって分解能が向上している。そのレンズにより、光収差が補正され、赤外域の400nmのスペクトル帯域が非常に正確に集光できる。「個々のナノピラーが、8.5~13.5µmの範囲で異なる高さを持つことは注目に値する。これにより、光の異なる波長が、単一の焦点に集光される」とDr. Schmidtは説明している。

実験研究でチームは、そのレンズ、例としてファイバベース共焦点スキャニングイメージングを利用して開発されたファイバオプティクスの集光効率を実証した。アクロマティックメタオプティクスを備えたファイバを使うことでチームは、多様な波長で、高い画像取得効率、高い画像コントラストをもつ納得のいく画像品質を達成した。焦点位置は、異なる波長でもほぼ一定だった。

幅広いアプリケーション向けに最適光成形
「開発されたナノ構造メタレンズは極めて小さく、平坦であるので、上部にアクロマティックオプティクスを備えた光ファイバ設計は、ファイバ技術ベースで微小、柔軟な内視鏡イメージングシステムをさらに進歩させ、一段と優しい侵襲性の少ない試験を可能する」(Dr. Schmidt)。この主要なアプリケーション領域に加えて研究チームは、レーザアシスト治療や手術分野、光ファイバ通信、ファイバセンサ技術の領域にもアプリケーションがあると見ている。
(詳細は、https://www.leibniz-ipht.de/)