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低雑音で赤外画像を見るナノアンテナ

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September, 27, 2019, Albuquerque--サンディア国立研究所は、カメラやセンサに役立つ微小な金のアンテナを開発した。これは、星や銀河から人々、建物、セキュリティを必要とするものまで、あらゆるものの熱赤外放射の発熱画像をより鮮明に「見る」ことができる。
 研究所では、ディレクテッドR&Dプロジェクトで、研究チームは、熱赤外カメラの信号を3倍まで増強し、ダークカレントを10~100倍減らすことで画像品質を改善するナノアンテナ対応ディテクタを開発した。
 熱赤外カメラとセンサは、50年前から存在しているが、カメラレンズやセンサの光学系の背後に存在するディテクタの従来設計は、その性能限界に達しているようである、とサンディアのマネージャー、ナノアンテナプロジェクトリーダー、David Petersは指摘している。
 同氏によると、赤外ディテクタの改善された感度は、一般的な設計でできる範囲を超えており、サンディアの国家安全研究や、天文学研究など他の用途にとって重要である。
 赤外ディテクタの感度と画像品質は、通常、ディテクタ材料の厚い層に依存している。これは、入射熱を吸収し、それを電気信号に変換する。その信号が集められて画像に変換される。
 「ディテクタ材料は常に、自然発生的に電子を生成している。その電子が集まり、画像に雑音を付加し、これが画像品質を低下させる」とPetersは説明している。「この現象は、ダークカレントと言い、ディテクタ材料の厚さと共に増加する。材料が厚ければ厚いほど、生成される画像内のノイズは多くなる」。
 研究チームは、厚い層への依存から離脱した新しいディテクタ設計を開発し、代わりにサブ波長ナノアンテナを利用する。これはパターン化された金方形アレイ、つまり十字形で、光をディテクタ材料の薄い層に集光する。この設計は、1µmのほんのわずかなディテクタ材料を使う。一方、従来の熱赤外ディテクタの厚さは5~10µmである。
 ナノアンテナ強化設計は、物体の赤外放射を50%以上多く見ることができ、同時にダークカレントによって起こる画像歪を低減できる。それに対して現在の技術は、赤外放射の約25%しか見ることができない。また新設計は、既存技術ではできない新しいディテクタコンセプトの発明を可能にする。
 「例えば、ナノアンテナでは、ピクセルレベルでスペクトル応答を精巧に制御することで画像に捉えられた情報量を飛躍的に拡大することができる」とPetersは説明している。
 研究チームは、赤外ディテクタを造るために、通常のプロセスをわずかに変えることでナノアンテナ対応ディテクタを実現する。薄いディスク、つまりウエハ上にディテクタ材料を「成長」させることで始める。するとディテクタ材料は、ナノアンテナやディテクタ層が収集した信号を読むエレクトロニクス層になる。ウエハを除去すると、微量の金を適用して、ディテクタ材料上のパターン化されたナノアンテナ層を作製する。
 「これが機能するようになるということは決まっていたわけではなかった。したがって、それがサンディアが取り組んだ理由である。現在、われわれはこのコンセプトを証明したところであり、この技術は商用化準備ができている。このコンセプトはさまざまなディテクタタイプに適用可能であり、したがって既存メーカーはこの新技術と既存ディテクタを統合するチャンスがある」とPetersは話している。