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UB研究者、量子限界に近づく化学センシングチップ

January, 27, 2021, New York--バッファロー大学(UB)の研究チームは、化学センシングチップの進歩を報告した。これは、非合法ドラッグから公害まで、呼気分析器と同様、迅速に微量化学物質を検出するハンドヘルドデバイスになる。

チップは、食品安全モニタリング、偽造防止、微量化学物質を分析する他の分野にも使えるもので、Advanced Optical Materialsに研究成果が発表された。

「多くの領域、特に薬物乱用で、可搬、コスト効果が優れた化学センサニーズが高い」と研究の筆頭著者、Qiaoqiang Ganは説明している。同氏は、工学、応用科学部、電気工学教授。

その研究は、同氏の研究室の以前に成果に立脚するものである。その研究では、金と銀のナノ粒子の端に光をトラップするチップを作製した。

生物学的あるいは化学的分子がチップ表面に付着すると、捕らえた光の一部が分子と相互作用し、「散乱」させられて新たなエネルギーの光になる。この効果は、化学的あるいは生物学的分子のフィンガープリントとして機能する認識可能なパタンで起こり、どんな成分が存在するかについての情報を明らかにする。

全ての化学物質は、固有の光散乱シグネチャを持っているので、その技術は究極的にはハンドヘルドデバイスに組み込み、血液、呼気、尿および他の生体サンプル内の薬物検出に利用できる。他のデバイスに組み込んで、空気中、水、他の表面の化学物質同定にも使える。

センシング法は、表面増感ラマン分光法(SERS)。
効果的ではあるが、Ganグループが以前に作製したチップは、設計的に均一ではなかった。金と銀のスペースが不均等だったので、散乱分子の同定が難しかった。特に、チップの他の場所に現れた場合である。

研究チームは、KAUST、上海科学技術大学のメンバーと協力して、この欠点の改善に取り組んだ。

チームは、製造プロセスで金と銀ナノ粒子間のギャップサイズを制御するために、それぞれの長さが異なる4分子(BZT, 4-MBA, BPT および TPT)を使った。改善された製造プロセスは、2つの技術、原子層堆積と自己組織化モノレイヤをベースにしている。これは、SERSチップのより一般的で高価な方法、電子ビームリソグラフィと対照的である。

成果は、前例のない均一性を持ち、比較的安価に製造できるSERSチップである。さらに重要な点は、Ganによると、それが量子限界センシング機能に匹敵することであり、これは従来のSERSチップには難しかった。

(詳細は、http://www.buffalo.edu)