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リモートセンシング技術で主要惑星鉱物に焦点を合わせる

January, 18, 2021, Providence--ブラウン大学の研究者は、惑星内部の主要構成体を遠隔的に調べる新しい方法を開発した。全ての惑星の内部の主要な成分と考えられる鉱物オリバインは、太陽系の形成初期について秘密を握っている。

ブラウン大学の惑星研究者は、オリバインを調べる新しいリモートセンシング法を開発した。オリバイン(かんらん石)は、月、火星や他の惑星の初期進化を研究者が理解する上で役立つ。

「オリバインは、岩石惑星内部の主成分と考えられている」と論文の筆頭著者、ブラウン大学PhD候補、Christopher Kremer,は話している。「それは、地球のマントルの主成分であり、月や火星表面の火山性堆積物、衝突クレータに見つかっている。表面下から噴き上げられた鉱物である」。

現在のリモートセンシング技術は、軌道からオリバインを見分けることは得意だが、研究者は単にそれを見分ける以上のことをしたいと考えている。その化学組成について、もっと知ることができるのではないかと考えている。全てのオリバインはシリコンと酸素を含んでいるが、鉄が豊富なものもあり、マグネシウムが多いものもある。

「組成から、その鉱物が形成された環境、特に温度について何かが分かる。形成中の高温では、マグネシウムが多くなり、低温では鉄が多くなる。そうした成分を引き出すことができると、これら惑星の内部が,形成以来どのように進化したかについて何かが分かる」とKremerは説明している。

リモートセンシングを利用してその成分を知ることができるかどうかを確認するために、Kremerは、ブラウン大学教授Carlé Pieters および Jack Mustardと協力した。また、ブラウンに収容されている、Keck/NASA Reflectance Experiment Laboratory (RELAB)の山のようなデータも利用した。

他の惑星の岩を調べるために研究者が利用しする1つの方法は、分光法である。特定の元素あるいは成分は、様々な度合いで多様な光波長を反射または吸収する。岩が反射する光スペクトルを見ることで、研究者は、どんな化合物が存在するかを知ることができる。RELABは、他のラボ技術を使ってすでに確定している組成で、サンプルの高精度にスペクトルを計測する。そうすることで、研究室は、他の惑星を調べて得たスペクトル計測の解釈にグラウンドトルースを提供する。

RELABで、長年にわたり調べたオリバインサンプルからのデータを詳細に調べ、Kremerは、小さな波長帯に隠れている興味深いものを発見した。それは、軌道上の探査機の分光計で見逃されていたものである。

「過去数10年、近赤外分光学と中赤外分光学に多くの関心が向けられていた。しかし、それら2つの間に除外されていた小さな波長帯がある。それこそ、わたしが注目している波長である」とKremerは主張している。

同氏によると、4~8µmの帯域、その波長は、オリバインサンプルにマグネシウムまたは鉄の量を予言しており、実際の含有量の10%程度となる。それは、その波長帯が無視されたときに予測できるよりも遥かに多い。

「われわれの現在の計測器では、おそらくこれやそれのわずかな量があると言える。しかし、この計測器では、われわれは実際に数字を上げることができる。これは大きな前進である」とMustardは話している。

研究者は、Geophysical Research Lettersに発表されたこの研究が契機になって、以前には見逃されていたこれらの波長を捉える分光計を構築し、飛ばすことになると考えている。そのような計測器は、Kremerによると、月面のオリバイン堆積の性質を理解する上で直ちに成果を上げる。

「Apolloプログラムで持ち帰られたオリバインサンプルは、地球で研究することができるが、それはマグネシウム成分のバラツキが大きい。しかし、この異なる成分が月にどのように分布しているかは分からない。その成分を分光学的に見ることができないからである。そこで、この新技術が登場するのである。それらの堆積がどのように分布しているかのパタンを解明できると、月の初期進化について何かが分かる」とKremerは説明している。

他の発見でも同様に可能性がある。航空機搭載SOFIA望遠鏡は、数少ない非Lab計測器の1つであり、この忘れ去られた周波数域を見ることができる。太陽に照らされた月面でその装置が最近水を発見したが、それはその周波数域を利用していた。

「この領域を見ることができる宇宙船搭載分光計のアイデアは、著しく魅力的になる、水でもオリバインのような岩だらけの鉱物でも」とKremerは話している。