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Caltech、光を曲げるシリコンチップを開発


March 20, 2014, Pasadena--カリフォルニア工科大学(Caltech)のAli Hajimiri、Thomas G. Myers電気工学教授の研究チームは、光を曲げるシリコンチップを開発した。
従来のプロジェクタは、微小な画像に光ビームを透過させ、レンズを用いて像の個々の点を大きなスクリーン上の点に拡大する。Caltechのチップは、大きくて高価なレンズやバルブを除去し、代わりにいわゆる集積光フェーズドアレイ(OPA)を使い、1個のレーザを光源として画像を電気的に投影する。機械的な可動部分はない。2つの波が伝搬方向で可干渉であれば、つまり1つの波の山と谷が2番目の波の山と谷に正確に揃っていれば、2つの波は統合されて1つの波になり、最初の波の2倍の振幅と4倍のエネルギーを持つビームがコヒレント波の方向に動いていく。
Hajimiri氏によると、波の相対的なタイミングを変えることにより光ビームの方向を変えることができる。
光の位相調整器、つまりフェーズシフタを使うことでOPAチップは波のタイミングの速度を調整することができる、このようにして光ビームの方向を制御する。像を形成するために、コンピュータからの電子データを多数の電流に変換する。つまり位相シフタ内で電流に強弱をつける。すると各光パス内の電子の数が変わる。これは、光パス内の波のタイミングを変えることになる。時間を合わせた光の波は、チップのグリッド内の微小なアレイ素子に送られる。次に光がグリッドの各アレイから放射され、個々のアレイビームコヒレント結合されて1つの光ビームを形成し、スクリーン上の点になる。
電気信号はビームを左右、上下に素早く操作できるので、光は高速のペンとして動作し、光でできた像を映写面に描き出す。光ビームの方向は電気的に制御され、機械的ではないので、素早い描画が可能になる。1秒間に多数回描画できるため、目は動く光ビームの代わりに、このプロセスを1つの像として認識する。
「われわれの成果で新しいことは、微小な1㎜2のシリコンチップでこれができること、しかも迅速に像を形成できるということ。これは2Dで電気的に位相シフトするためである」(Behrooz Abiri院生)。これまで研究チームは、チップの現行バージョンで投影しているが、アレイ素子を増やしたより大きなチップを現在実験している。これにより、分解能が向上し、複雑な像を投影できるようになる。
最近の実験で研究チームは、画像を赤外光で投影するのにこのシリコンチップを用いたが、別のタイプの半導体を用いるとこの微小なプロジェクタの能力を可視光に広げることができる。Firooz Aflatouni氏によると、現状ではシリコン技術を使っているが赤外光の方がもっと相性がよい。「可視光を投影したいなら、正に同じアーキテクチャでよいが、化合物半導体III-V技術でもできる。シリコンはエレクトロニクスと簡単に集積できるのですばらしいが、同じことをするのに、他のこのような化合物半導体も使える」。
Hajimiri氏によると、将来的には、これは電話に組込可能。レンズが不要になるので、電話はそれ自体がプロジェクタとして機能する。しかし、チップは簡単に電話に組み込めるので、小さなプロジェクション機器には多くの応用がある。例えばLIDAR。LIDARは位置決め、ロボティクス、地理計測、地図製作に用いられている。そのような装置はすでに存在しているが、現在のLIDAR技術は複雑、大型、高価な装置を必要とする。これが遙かに低コストの1個のチップに縮小可能になる。
(詳細は、 www.caltech.edu)

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