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EPFL研究チーム、光ファイバのスループットを10倍にする技術を開発

December 17, 2013, Lausanne--EPFLで2人の研究者が、光ファイバの容量を飛躍的に拡大する方法を開発した。このシンプルで画期的なソリューションでは、データを運ぶ光のパルス間に必要なスペース量を削減する。このブレイクスルーにより、通信システムのデータスループットは10倍に増える。
光ファイバは、光パルスの形式で何千マイルもデータを伝送する。しかし、信号が相互干渉しないように、光パルスはファイバ内で最小限の間隔を空けて並べる必要があるため、伝送容量に限界がある。
ローザンヌ工科大学(EPFL)、フォトニクスシステム研究所(PHOSL)のCamille Brès教授とLuc Thévenaz教授は、ファイバ内でパルスを密着させる方法を開発した。これによりパルス間隔が減少することになり、光ファイバの全容量を利用することが可能になる。「このアプローチは、通信システムでスループット10倍拡大に道を開くものである」と両教授は説明している。
EPFLチームのアプローチは、光そのものをどのように処理するかという基本的な問題に注目した。つまり、デジタルデータを運ぶパルスを生成する方法として何がベストであるか、と考えた。このアプローチでは、光ファイバネットワーク全体を置き換えるのではなく、送信器だけを置き換えればすむ。
研究チームのブレイクスルーは、「ナイキスト・シンクパルス」として知られるパルスをほぼ完璧に生成できる方法を基盤にしている。Camille Brès氏は「このようなパルスは、一段とと尖った形をしているので、相互に密着させることができ、ジグソーパズルのピースが絡み合っているようなものだ」と説明している。同氏によると、多少の干渉はあるが、実際にデータを読むところで干渉しているわけではない。
パズルのようにパルスを密着させて光ファイバのスループットを高めるアイデアは新しいものではない。しかし、その「パズル」はこれまでに「解かれた」ことがなかった。高度で高価なインフラストラクチャを使いながらも、これまで正確に動作させることができたものは誰もいなかった。EPFLチームは、簡単なレーザと変調器を用いて、99%以上の完全性をもつパルスを生成した。
「ジグソーパズル」が生成できるためには、スペクトラムは方形でなければならない。つまり、パルスの全ての周波数が同じ強度でなければならない。両教授は、レーザを変調する際にこのことを念頭に置いた。
単純なレーザは一般に1つの光周波数だけでできている。スペクトラムは極めて狭い。これは、1本の弦しかないバイオリンのようである。しかし、レーザは、他の色/周波数を持つように巧妙に変調することができる(変調器を使う)。その結果、いくつかの異なる色で構成される1個のパルスになり、スペクトラムは広がる。問題は、そのパルスの主要な色(周波数)が、それでもなお他のスペクトラムよりも強度が強い傾向をもっていることだ。このことは、スペクトラムが、必要とされている方形とならないことを意味する。そのためには、パルスの個々の色が同じ強度でなければならない。バイオリンの複数の弦が同じ力で振動するようにする、しかし隣接する弦は振動させない。
研究チームは、周波数コムとして知られるコンセプトをベースにして一連の巧妙な調整を行い、ほぼ完全な方形のパルスを生成することに成功した。研究チームは念願の「ナイキスト・シンクパルス」を生成することに成功したので、これが真のブレイクスルーということになる。
研究チームによると、この技術はすでに成熟しており、100%光であり、比較的安価である。また、簡単なチップで実現できそうである。
(詳細は、 www.nature.com)

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