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体内の細胞との光通信を可能にするヒドロロゲルインプラント

October 31, 2013, Cambridge--特定の細胞が特別なことをするように誘導する新しい治療が開発されているが、適切なメッセージを適切な細胞グループに適切な時間に伝えることが大きな課題として残っている。
細胞との通信に光を利用することは、組織透過能力に限界があるので制限されてきた。マサチューセッツ総合病院ウエルマン医療センタ(Wellman Center for Photomedicine)の研究チームは、光信号を体内の深い位置にある特定組織に送達する方法を開発した。
光ガイドヒドロゲルというインプラントは、生きた細胞をサポートできるポリマベースのスカフォールディングで作られている。また、インプラントは光に反応して特定の動きをしたり、特定の代謝シグナルに反応して発光する。光ファイバが、インプラントを外部の光源または光ディテクタに接続する。
研究チームは先ず、光信号の送達と検出に最も適した、ヒドロゲルスカフォールディングの特性、透過性、柔軟性、安定性などを定めた。光信号の伝送能力を大きく低下させないようにヒドロゲルに埋め込む細胞の数を決めた後、2つの異なるシステムを開発してマウスでテストした。いずれも、動物の皮下に4㎝のヒドロゲルを埋め込む必要があった。
第一システムのインプラントは遺伝子工学の産物としての細胞を含んでおり、毒素に接すると緑の蛍光タンパク(GFP)を発光する。体内で、毒性の金属カドミウムを含むナノ粒子にヒドロゲルが反応することを確認した後、研究チームはヒドロゲルを3グループのマウスの皮下に埋め込んだ。1つのグループにはカドミウムナノ粒子を注入、2番目のグループは毒から細胞をシールドするポリマシェルにカプセル化したナノ粒子を受け取り、3番目のグループには制御食塩注射を行った。インプラントは、シールドされていないナノ粒子に反応してGFP信号を出しただけであり、このことはインプラントが、今回は毒素の存在による変化を検知できることを示している。
同システムの治療への応用を調べるために研究チームは、グルコース代謝で重要な役割を担うタンパク質、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)を作ることで青い光に反応する細胞を含むヒドロゲルインプラントを用いた。糖尿病のマウスの皮下にインプラントを埋め込んだ後、12時間青い光の信号を送達。1.5日後、インプラント後48時間で、光信号を受けた動物は血中のGLP-1のレベルが、光を受けなかったマウスの2倍になり、ブドウ糖負荷試験として優れた結果が得られた。
「今回の成果は、それぞれの分野でよく知られたいくつかの既存技術を組み合わせている、薬物送達、遺伝子工学、生体材料科学、フォトニクスなどを組み合わせて体内深くにフォトメディシンを送達する新しいインプラントシステムを実現した」とハーバード大学医学大学院皮膚科学助教授、ハーバードバイオオプティクス研究所ディレクタ、Yun氏はコメントしている。
今後は、ヒドロゲルの形状や構造を変えることでインプラントの光ガイド特性をどのように改善できるかを研究する。
(詳細は、 www.massgeneral.org)

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