All about Photonics

Home > News > News Details

News Details ニュース詳細

ナノスケールエンジニアリングでQD-LEDのパフォーマンス向上

October 29, 2013, Los Alamos--ロスアラモス国立研究所のナノテクノロジー・先端分光研究チームによる最近の成果により、量子ドット発光ダイオード(QD-LED)分野の飛躍的な前進が可能になる。
量子ドットはナノサイズ半導体粒子で、その発光色は大きさを変えるだけで調整できる。ほぼ均一な量子収量、狭い発光帯を特徴としており、これは優れた色純度となる。新しい研究の狙いは、新世代の量子ドットを用いてQD-LEDを改善することにある。この量子ドットは、光の生成に競合するような無駄な荷電キャリアの相互作用を減らすように特に調整されている。
「QD-LEDは潜在的に、例えば白熱電球のような標準的な照明技術と比較して多くの利点がある。特に効率、動作寿命、発光の色品質などだ」とロスアラモスのVictor Klimov氏は指摘している。
白熱電球は、わずか10%の電気エネルギーを光に変換し、その90%は熱になることが知られており、世界中で、より無駄の少ない蛍光灯に急速に置き換わってきている。しかし、最も効率的な照明は、LEDのような電子発光デバイスを用いた電気と光の直接変換である。
狭スペクトラルで発光を調整でき、加工が容易なコロイドQDはLED技術には魅力的な材料である。過去10年、QD-LEDの活発な研究により、そのパフォーマンスが飛躍的に向上し、商用製品の要求をほぼ満足するレベルに来ている。この分野の大きな課題は、いわゆる効率のロールオフ、大電流で効率が落ちることだ。
ナノテクチームのポスドク研究者、Wan Ki Bae氏は、「このロールオフが、特に照明アプリケーションで求められる実用的な輝度レベル達成を困難にしている」と指摘する。
動作中のQD-LEDを分光学的に研究することでロスアラモスの研究チームは、効率低減の主因がいわゆるオージェ再結合効果であることを立証した。このプロセスで、フォトンとして発光する代わりに、励起された電子とホールの再結合エネルギーが過剰電荷となり、熱として散逸する。
Nature Communicationsに発表した論文では、QD-LEDの効率低下のメカニズム特定だけでなく、QD-LEDにおけるこの問題を回避する2つの異なるナノエンジニアリング戦略も立証されている。ここでの量子ドットLEDは、硫化カドミウムシェルで覆われたセレン化カドミウムでできた高輝度量子ドットをベースにしている。
オージェ再結合そのものの効力抑制の第一のアプローチは、個々のQDのコア/シェルインタフェースにカドミウム・セレン・サルファアロイの薄膜層をつけることによって行われた。
もう1つのアプローチは、ドットそのものへの余分な電子の流れ込みをコントロールすることで電荷不均衡という問題に対処する。これは、個々のドットを、電子入射を選択的に妨げることができる硫化亜鉛カドミウムに包むことで対処できる。ナノテクチーム化学者Jeffrey Pietryga氏によると、電子とホールの注入電流の微調整により、ドットは電荷中性状態に保たれ、オージェ再結合を阻止できる。
(詳細は、 www.lanl.gov)

製品一覧へ

関連記事

powered by weblio





辞書サイトweblioでLaser Focus World JAPANの記事の用語が検索できます。

TOPへ戻る

Copyright© 2011-2013 e.x.press Co., Ltd. All rights reserved.