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NIMS、色素増感太陽電池の色素吸着構造を分子レベルで解明

October 21, 2013, つくば--NIMS ナノ材料科学環境拠点のハイブリッド太陽電池グループは、色素増感太陽電池の分子/電極界面近傍で生じる特異な吸着構造の変化と光電流の関係について、高エネルギー加速器研究機構における放射光軟X線実験で明らかにした。
物質・材料研究機構(NIMS)ナノ材料科学環境拠点、ハイブリッド太陽電池グループの本田充紀ポスドク研究員(現日本原子力研究開発機構 量子ビーム応用研究部門 任期付研究員)、柳田真利リーダーは、色素増感太陽電池の分子/電極界面近傍で生じる特異な吸着構造の変化と光電流の関係について、高エネルギー加速器研究機構(KEK)における放射光軟X線実験で明らかにした。
色素増感太陽電池は低コストかつ高フレキシビリティーの性質を有することから次世代太陽電池の一つとして注目されている。実用化するためには現在得られている発電効率を超えるさらなる光電変換効率向上(特に光電流の向上)が必要。色素太陽電池では色素が光吸収と電子授与を行うことから、光電流は色素の吸着構造に依存すると考えられ、変換効率の向上には、実デバイス下における吸着構造の解明とその制御が必要となる。
研究グループは、色素分子の電子構造を知ることが出来るX線光電子分光およびX線吸収端微細構造法を用いて、ルテニウム金属錯体色素N719の吸着構造を分析した。通常、N719色素はカルボキシル基 (COOH基)を介してTiO2表面に吸着する性質があるが、研究の結果、NCS-(チオシアナート配位子)が TiO2と強く相互作用していることが明らかになった。これまでの吸着構造モデルでは、このような吸着構造をとることは考慮されておらず、光電流を妨げる原因になっていた可能性がある。
さらに、このNCS-とTiO2の強い相互作用は、D131色素(短波長領域で強い光吸収特性を示す色素で、共吸着剤として広く用いられている)を同時に吸着させると消失することが分かった。この成果を設計指針とすることで最適な吸着構造を制御した結果、太陽電池の可視光領域の外部量子収率が大きくなる(太陽光照射下の光電変換効率は約0.3 %向上する)ことが分かった。
(詳細は、 www.nims.go.jp)

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