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NICT、超高速インターネット衛星を用いたテレオペレーションに成功

October 18, 2013, 東京--海洋研究開発機構(JAMSTEC)の石橋正二郎技術研究副主幹らのグループは、情報通信研究機構(NICT)と共同で、高速衛星通信を用いた陸上からの無人探査機遠隔操作(テレオペレーション)試験に世界で初めて成功した。
試験では、超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)が提供する衛星通信リンクを用いて、陸上(JAMSTEC横須賀本部)から相模湾初島沖水深約130mに潜航中の無人探査機「おとひめ」をテレオペレーションするとともに、「おとひめ」が撮影する高精細な深海映像や各観測機器・センサの計測結果を、リアルタイムに陸上へ送信することが実現された。
この成果は、衛星を介したブロードバンド(高速・大容量の通信回線や通信環境)技術に対する新たな可能性をもたらすものであり、“海のブロードバンド化”にとって重要な一歩となる。この成果を更に進捗させることで、海底資源探査や海底地形調査の高度化、効率化に今後大きく貢献することが期待される。
JAMSTECとNICTの共同研究チームは、テレオペレーションに必要となる「きずな」が提供する超高速の衛星通信リンクを船上に確立するために、アンテナの高精度な初期捕捉及び衛星トラッキング(追尾)システムを開発する一方で、負荷分散や自己復旧能力を持つ新開発のネットワーク技術にて構成された「おとひめ」制御システムを開発。これまで、陸上において通信試験、結合試験を実施するとともに、各機能とシステム構成について検討を重ね、このたび、実機を用いた海域試験において、世界で初めて高速衛星通信による無人探査機テレオペレーションに成功した。
試験では、2013年10月6日に「きずな」の高利得アンテナ(アンテナの受信能力が高いので、送信電力が極めて小さい地上局からの信号も受信できる)を利用して、JAMSETC横須賀本部(神奈川県横須賀市)と相模湾初島沖を航行するJAMSTEC所有の海洋調査船「かいよう」とを相互通信することにより、海中を潜航中の「おとひめ」のテレオペレーションを実施した。
JAMSTEC横須賀本部には「きずな」との通信を行う大型車載地球局と「おとひめ」の陸上制御コンソール(コンピュータを操作するために使う入出力装置のセット)を設置。一方、「かいよう」船上には衛星トラッキングシステムを備える船舶搭載局と「おとひめ」の船上制御コンソールを設置した。「おとひめ」は「かいよう」と直径1mmの光ファイバケーブルで連結されており、光通信にて船上制御コンソールに「おとひめ」に関する全ての情報が送信される。船上制御コンソールでは、受信した情報を船上の船舶搭載局に配信し、「きずな」を経由してJAMSTEC横須賀本部に送信され、大型車載地球局がこれを受信することで、陸上制御コンソールにおいて当該情報が展開される。陸上制御コンソールでは、オペレータがこれをモニタリングしながら、同経路にて「おとひめ」への制御指令を発信することで「おとひめ」のテレオペレーションを実現した。
内容としては、簡易コントローラーを用いた多関節マニピュレータによる模擬作業試験と、専用のアクチュエータ操縦卓を用いた「おとひめ」の航行操作試験を実施した。いずれの試験においても陸上のオペレータは、ほぼリアルタイムに「おとひめ」が撮影した海底のハイビジョン映像やその他3種類のTVカメラ映像、「おとひめ」のステータスデータ(探査機の状況を表すデータ)等をモニタリングしながら操作した。また試験では、陸上制御コンソールと船上制御コンソールとがTV会義システムで中継されており、オペレータと現場との音声によるコミュニケーションだけでなく、現場の状況を視覚的に伝えることもできた。
今回の成果についてNICTとJAMSTECは、最新のネットワーク技術を導入した無人探査機「おとひめ」と、世界最高水準のネットワーク回線を提供する超高速インターネット衛星「きずな」による技術的アプリケーションの実用性を示しただけでなく、近い将来、大きく進捗していくであろう“海のブロードバンド化”に対して、その実現性を示唆するものである、と説明している。

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