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古河電工、マイクロチップでの単一細胞全自動解析・回収装置を商品化

September 19, 2013, 東京--古河電気工業は、マイクロチップでの単一細胞全自動解析・回収装置を世界で初めて商品化した。現在、この装置は、理化学機器販売の国内最大手、アズワンより、国内販売されている。
装置は、アズワン株式会社、黒田俊一 名古屋大学教授、近藤昭彦 神戸大学教授及び藤井郁雄 大阪府立大学教授らの研究グループと産学共同開発。
単一細胞全自動解析・回収装置は、細胞の大きさに応じて、8万から33万以上のマイクロウェルを構成するマイクロチップ上に高集積度で単一細胞を極めて高感度で計測しながら、目的の単一細胞をダメージレスで培養プレートに回収できる世界初の装置。
この装置は、透過光解析情報に加え、8000個以上の細胞を僅か6秒で3蛍光色による計測・解析が可能。また、タイムラプス解析を行うための試薬置き換え機能も備えつけている。
マイクロチップは安価な樹脂成型の使い捨てタイプで、細胞のサイズに応じて直径が10μmと30μmの2種類。また、細胞の研究用途に合わせたマイクロチップへの表面処理を施すこともできる。
単一細胞を解析・回収できる装置としては、セルソーターがよく使用されたが、タイムラプス解析ができないほか、数万分の一の様なレアでデリケートな生細胞をダメージレスで回収できない問題が指摘されている。また、効率的にマイクロチップ上に単一細胞を解析・回収する試みも国内外にあったが、特にマイクロチップと回収用キャピラリとの間に、数マイクロメートル(μm)の位置決め精度が必要とされるため、単一細胞の回収精度が技術的なボトルネックとなっていた。また海外においても、細胞塊をある程度に回収できる商品はあるが、単一細胞を高感度且つ高効率で正確に取り扱う商品はなかった。
古河電工は、独自の画像処理技術とメカトロ技術を駆使し、世界で初めて大きさが数マイクロメートルの単一細胞でも、90%前後という極めて高い回収率の実現に成功した。
新開発の単一細胞全自動解析・回収装置を用いると、例えばiPS細胞やES細胞等の樹立過程において、ライブラリーの中から最もよい形質を有する細胞を1細胞単位で精密に選び出し、正確な遺伝子情報解析で、効率よく短時間で育種することが可能になる。
その結果、再生医療に使用されるiPS細胞・幹細胞の信頼性向上とその安全性評価に大きな貢献が期待できる。また、良質のバイオ医薬品(抗体等)を大量分泌する細胞を、従来の細胞塊に比べ検出感度数千倍以上で検出することで、大幅な効率化が期待される。さらに、数年以上を必要とされる創薬スクリーニングを、本装置とペプチドライブラリー表層提示酵母を用いることで、スクリーニング時間が数週間に短縮できる大きなメリットもある。
さらに、臨床分野でも、タイムラプスによる単一細胞への薬物感受性解析評価と遺伝子解析が行えることで、特に抗がん剤投与の指針にも貢献できるとの臨床現場からの期待も高まっている。
今回開発された装置は、iPS細胞・幹細胞による再生医療や革新的な新しい創薬スクリーニング等の早期実現に貢献できると期待され、英科学誌ネイチャーの姉妹誌「サイエンティフィック・リポーツ」に注目の論文としても掲載された。
単一細胞全自動解析・回収装置の直接世界市場規模が2015年には50億円と予想され、国内における幅広いライフサイエンスの基礎研究と創薬・臨床実用化に及ぼす間接的経済波及効果まで考慮すると、さらに大きな市場規模が推定される。

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