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ストラスクライド大学、ダイヤモンドラマンレーザを開発

August 19, 2013, Strathclyde--ストラスクライド大学(University of Strathclyde)の研究チームは、新しいタイプのハイパフォーマンス、多目的ラマンレーザを開発した。このラマンレーザは、現在のラマンレーザと比べて高出力で波長範囲が広い。これにより重要な新しいアプリケーションが広がる。
オーストラリアの研究者たちも画期的なダイヤモンドベースのラマンレーザ技術に取り組んでいるが、ストラスクライドの研究チームは2つの主要な世界記録を最初に達成した。
1つは、世界初のチューナブル(波長可変)ダイヤモンドラマンレーザ。光波長が特定ニーズに適合するように調整できる。例えば、血管病変、血管の異常クラスタは、周囲の組織への損傷を最小に抑えながら病変による吸収を最大にするためにイエロー/オレンジの光を必要とするが、これは従来のレーザで作り出すのは難しい。このブレイクスルー基礎となっているのは、ダイヤモンドレーザが従来の手段では生成が困難な波長レンジを作り出せるというダイヤモンドの光学特性。例えば、イエロー/オレンジ光は、血管病変、目の網膜出血などの医学的処置で使用できる。
2つ目は、世界初の連続動作ダイヤモンドラマンレーザ。この点が重要であるのは、短パルスしか出せないレーザは、医療やその他のアプリケーションによっては適さないことがあるからだ。例えば、パルスは目の繊細な構造に損傷を与える。非常に感度の高い領域の医療では、パルスレーザによる聴覚障害が大きすぎることがある。
ストラスクライドのフォトニクス研究所でこのプロジェクトを主導・監督しているMartin Dawson教授によると、この新しいレーザは電磁スペクトルでUVの低い領域から、可視光をカバーし、中赤外域までの波長が出せる。これは、現在のレーザにある多くのギャップを埋められることを意味する。
ラマンレーザでは波長を変えるのに通常シリコンと他の材料を使っているが、この場合レーザのパワーや波長レンジも限られている。これは材料の物理的特性によるものだ。例えば、熱伝導性に限界があるためにレーザの出力にも限界がある。また、特殊な光学特性のために、ある有用な波長が出せない。
対照的にダイヤモンドは比類のない熱伝導性があり、それと固有の強さ、堅さ、光学特性を併せるとレーザに最適となる。
このプロジェクトの主席研究者、Dr. Alan Kempによると、必要なパワー生成に大きな結晶は不要である。「したがって、レーザを小さくできる。従来のラマンレーザは3~6㎝の結晶を組み込まなくてはならない。しかしわれわれの新しいレーザは、同じ出力を得るのにわずか2~6mm長のダイヤモンド結晶でよい。つまり、特殊な波長が必要だが、スペースが貴重であるような航空用途や医療に適用できる」。
初めてのチューナブルダイヤモンドラマンレーザを実証するプロジェクトを主導したのはDr Jennifer Hastie。ラマン結晶を半導体ディスクレーザに組み込むことでこれを達成した。これは、ストラスクライドのフォトニクス研究所で大規模に開発された新しいタイプのチューナブルレーザ。
同氏は、「例えば、半導体ディスクレーザによってポンプ光の波長を可変にすると、ラマンレーザの波長を可変とすることができる」と言う。
研究チームは、UKの人工ダイヤモンド製造会社、Element Sixと提携している。天然のダイヤモンドに比べて人工ダイヤモンドは潜在的に安いだけでなく、必要となる光特性を正確に実現できるように設計可能であるので人工ダイヤモンドはレーザでの使用に最適である、これは天然のダイヤモンドでは困難。
Dawson教授は、「これまでの成功をベースにして、今後5~10年で新しい世代のレーザが使えるようになる」と見ている。
(詳細は、 www.strath.ac.uk)

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