All about Photonics

Home > News > News Details

News Details ニュース詳細

NIMS、世界最高性能の量子ドットもつれ光子源を開発

July 30, 2013, つくば--NIMS先端フォトニクス材料ユニットの黒田 隆主幹研究員、間野 高明主任研究員らは、北海道大学、仏トゥールーズ大学との共同で、半導体量子ドットを独自手法で改良し、ドットの形を等方的にすることで、世界最高性能の量子もつれ光子源の開発に成功した。
これまでの光源とは異なり、付加的な信号選別(ポストセレクション)を必要とせず、きわめて優れた量子もつれあいの特性を持つ。この研究成果により、従来不可能であった量子情報通信の遠距離化を可能とした。
研究では、試料の成長方法を見直し、等方的な量ドットを制御性よく実現して、外部制御の手間いらずに、世界最高値のもつれあい度の観測に成功。量子ドットの創製には、NIMSが独自に開発した液滴エピタキシー法を用いた。量子ドットの成長基板として、通常用いる[100]面のGaAsではなく、[111]A面のGaAsを適用。[111]A面の原子の配列は、正三角形のユニットから構成される。このため量子ドットの形状も正三角形に近くなり、等方的な性質を持つと期待した。
作製したガリウム砒素量子ドットから発する蛍光信号を解析すると、忠実度が86(±2)% のもつれ光子対になることを発見。さらに、量子もつれの厳密な評価基準である、ベルの不等式の破れを、雑音レベルの5倍以上の大きさで観測した。いずれも過去の報告値を凌駕する。これまでの光源では、ポストセレクションと呼ぶ信号選別を経て、量子もつれの特性を得ていた。この光源は、付加的な選別を用いることなく優れた特性を示している。このため、直接、量子通信システムへの実装が可能。
今回の成果は、空想の技術と思われがちな量子通信技術を、小手先の工夫ではなく、ものつくりの技術で実現した画期的な成果。今回開発したもつれ光子源は、波長が700 nm前後であり、輸送体などを対象とする自由空間の量子情報伝送に適している。一方、通信インフラに実装するには、石英ファイバの最大透過帯、波長1.55μmが重要。液滴エピタキシー法は、材料種を問わず量子ドットの作製が可能であり、今後、通信波帯域でのオンデマンドもつれ光子源の開発を進める予定。
(詳細は、 www.nims.go.jp)

製品一覧へ

関連記事

powered by weblio





辞書サイトweblioでLaser Focus World JAPANの記事の用語が検索できます。

TOPへ戻る

Copyright© 2011-2013 e.x.press Co., Ltd. All rights reserved.