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理研、光を当てるだけで何度でも望む場所を加工できるヒドロゲル開発

July 9, 2013, 和光--理化学研究所(理研)と物質・材料研究機構(物材機構)は、光(紫外光)を当てるだけで望みの場所を何度でも加工できるヒドロゲルの開発に成功した。
これは、理研創発物性科学研究センター創発ソフトマター機能研究グループの相田卓三グループディレクター(東京大学大学院工学系研究科教授兼務)と、創発生体関連ソフトマター研究チームの石田康博チームリーダー、劉 明傑(リュウ ミンジェ)特別研究員、および物材機構国際ナノアーキテクトニクス研究拠点の佐々木高義フェロー、海老名保男MANA研究者らによる共同研究グループの成果。
水を主原料とした固形物であるヒドロゲルは、生体にも地球環境にも優しいプラスック代替材料として、近年、産業界、学術界両方からの注目を集めている。しかし、従来のヒドロゲルのほとんどは、古典的な鋳型法により成形されているため、単純な形状の塊としてしか得られなかった。また、一度成形した後に形状や組成を変えることは困難であり、こうした制約がヒドロゲルの用途を著しく狭めてきた。
共同研究グループは、光触媒として有名な酸化チタンのナノシートを使うことにより、望みの場所を何度でも光加工できるヒドロゲルの開発に成功した。開発したヒドロゲルは、有機ポリマーと酸化チタンナノシートとを連結することにより3次元の網目を形成し、網目の隙間に大量の水を閉じ込めたもの。これに光を照射すると、酸化チタンの光触媒作用により、網目中の水分子が高反応性のヒドロキシルラジカルに変換される。このヒドロキシルラジカルを使った化学反応を利用すると、ヒドロゲル中に情報を書き込んだり、ヒドロゲルと別物質とを強固に連結したりすることが可能となる。化学反応は光照射された部分でのみ進行するため、リソグラフィー微細加工が可能。さらにこのプロセスは、半永久的に安定な酸化チタン触媒を用いるので、水と光さえあれば何度でも繰り返すことができる。この成果は、ヒドロゲルの用途を飛躍的に拡張するもので、酵素コンテナ、薬物徐放システム、3次元的に加工された細胞培地、人工臓器などをはじめ、バイオメディカル分野でのさまざまな応用が期待できる。
(詳細は、オンライン科学雑誌『Nature Communications』(6月18日付)。

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