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TU Vienna、光トランジスタ実現に向けて大きく前進

July 8, 2013, Vienna--ウイーン工科大学(TU Vienna)は、特殊材料に電流を流すだけで光ビームの振動方向を変えることに成功した。この方法により、電流の代わりに光で動作するトランジスタが実現可能になる。
光は様々な方向に振動させることができる。ガラスレンズは、特別な振動方向の光を透過するが、光損失無しに光の偏向を変えることは難しい。TU Viennaは、テラヘルツ照射によってこれを可能にした。超薄型材料に電界を印可することで、必要に応じて光ビームの偏向を変えることができる。これによって微小な光トランジスタが可能になり、このトランジスタは光コンピュータにも使える。
磁界を加えると光の偏向が回転する材料がある。これはファラデー効果として知られている。通常この効果は極めて小さい。2年前、TU Vienna固体物理学研究所のAndrei Pigenov教授の研究チームは、ヴュルツブルク大学(University of Würzburg)の研究グループと協力して、特殊なテルル水銀プレートレットに光を透過させ磁界をかけて大きなファラデー効果を実現した。
当時、この効果は外部の磁気コイルでしか制御できなかった。これは技術的に不利な点になる。Andrei Pimenov氏によると、この効果の制御に電磁石を使うには、大電流が必要。テラヘルツ照射なら、わずか1V以下の電圧を印可するだけでよい。これによってシステムは著しく簡素に、高速になる。
偏向を回転させるのは磁界であるが、この効果の強さを決めるのは磁界の強さではなく、このプロセスに必要な電子の量である。この量は、電位によって調整可能。したがって永久磁石と電源だけあればよく、技術的には極めて扱いやすい。
この実験に用いた光は不可視であり、1mmオーダーの波長のテラヘルツ波。Pimenov氏によると、この照射の周波数は次々世代のコンピュータで達成可能なクロック周波数に相当する。「情報が電流の形式でしか流れない今日のコンピュータの構成要素は、根本的な改善は不可能。電流を光に置き換えることで新たな可能性が開ける」。新たに開発した光回転メカニズムで正確に照射ビームを制御できることが重要であるのは、仮説に基づいた新しいコンピュータだけではない。テラヘルツ照射は現在では多くの目的で利用されている。例えば、空港セキュリティ技術におけるイメージング法にも使用される。
「光が偏光フィルタを通過するのは、偏向依存的である。光は透過するか阻止されるかのいずれかだ。これは正にトランジスタの原理そのものだ。外部電圧を印可することで透過と阻止を決めることができる。われわれの場合は、電圧によって光が届くか否かが決まる」。この新しい発見は、電気のトランジスタの光バージョンに相当する、と同氏は説明している。
(詳細は、 www.tuwien.ac.at)

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