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理研、簡便で生体試料にやさしい組織透明化試薬「SeeDB」を開発

July 3, 2013, 和光--理化学研究所(理研)は、厚みのある生体組織をそのままの形状を保持しながら、簡便に透明化する新しい試薬「SeeDB」を開発した。これは、理研発生・再生科学総合研究センター感覚神経回路形成研究チームの今井猛チームリーダーと柯孟岑(カ モウシン)研修生(京都大学生命科学研究科博士課程)、藤本聡志研究員による研究チームの成果。
現代のライフサイエンス研究では、細胞や組織の微細な形状を3次元的に観察できる蛍光イメージング技術の重要性が高まっている。しかし、生体組織においては光散乱の影響から、深部のイメージングは数100μmまでが限界。近年、深部イメージングを行うために組織を透明化する方法がいくつか開発されているが、透明化に時間や手間がかかるうえ、生体の微細な構造が損なわれるといった問題があり、より簡便で生体試料へのダメージが少ない透明化法が望まれていた。
研究チームは、ハチミツや果物などに多く含まれるフルクトース(果糖)を主成分とする組織透明化試薬SeeDBを開発し、簡便かつダメージを抑えて組織を透明化することに成功した。SeeDBは組織に対する変性作用が無いうえ、透明化に伴って生体試料の大きさや形状を変化させない。また、蛍光タンパク質やさまざまな蛍光神経トレーサも安定に保持されるため、生体の微細な形状、例えば神経細胞の接続パターンの解析などに適している。
研究チームは、実際にSeeDBを用いて厚さ6mmのマウス脳を透明化させ、2光子励起顕微鏡で観察しマウス脳全体を完全に可視化できることを示した。さらに、従来は不可能だった左右の大脳半球をつなぐ脳梁線維の 1本1本を区別した追跡や、匂い情報処理の中枢である嗅球における詳細な神経細胞の配線様式を明らかにすることにも成功した。
今後、今回開発した技術は、脳の神経回路図を丸ごと解明するコネクトーム(神経接続様式の総体)研究に役立つと期待されている。
(詳細は、 www.riken.go.jp)

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