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レーザ加速器から同じエネルギーの電子パルスを生成

June 27, 2013, Garching--マックスプランク量子光学研究所(Max-Planck-Institute of Quantum Optics)の研究チームは、個々の粒子がほぼ同じエネルギーを持ち、調整可能な、レーザ加速器から電子パルスを生成した。
光速に近い電子は制御が難しい。電子を超高速物理学の最前線でツールとして用いるには、エネルギーを調整できること、極短パルスに押し込めることが必要になる。アトセカンド物理学研究所(LAP)の研究グループリーダー、Dr. Laszlo VeiszとStefan Karsch教授(両氏ともMPQ所属)による成果は、レーザ駆動加速器を用いて達成された。研究チームは、数アト秒の電子パルスを生成した。個々の粒子はすべてほぼ同じエネルギーであり、エネルギーは調整可能。これらの単色電子パルスは、EUVあるいはX線レンジでも、超短閃光生成に使うことができる。また、これらはマイクロコスモの高速プロセスのプロービング用途にも使える。
ほぼ光速で伝搬する電子でできた束(バンチ)は、その特性を十分にコントロールすることができれば、医療で大きな可能性があり、マイクロコスでもプロービングに使用できる。通常、そのようなパルスは従来のRF加速器システムで生成するが、このような装置は大きくて高価であり、超短粒子バンチを生成できるものの、一段と高価な仕掛けが必要であり、粒子の損失も大きい。レーザで粒子バンチを加速することにより、こうした問題を実用的に回避できる。しかし、大きな問題は、バンチの全ての粒子を同じエネルギーにするのが難しいことだった。この問題が克服できると、バンチ特性の制御が一段と向上し、想定したアプリケーションに適用できるようになる。
従来のRF加速器は常に粒子ソースを含んでおり、バンチ内の粒子数、パルス幅とエネルギー幅、最終エネルギーを決める加速セクションが決まっている。レーザ加速器では、これまで決まった粒子ソースはなかった。加速すべき電子は加速距離に沿ってランダムにトラップされた。このため、そのエネルギー分布は広がっている。Laszlo VeiszとStefan Karsch両氏の研究チームは、レーザ加速器に粒子ソースを組み込む方法を示した。研究チームは、個々の粒子が全てほぼ同じエネルギーとなるバンチを実現するためにそれを利用する。
実験では、超音速で小さなノズルからヘリウム原子を放出。ノズルのすぐ上にレーザブレード(カミソリの刃)を置いてノズル開口部の一部を隠した。ノズルから超音速ヘリウムストリームが発せられ、レーザブレードエッジに当たると、衝撃波が形成され、気体内の密度ステップができる。まさにその箇所で研究チームは、パルス幅28nsの極めて強いレーザパルス生成に注力した。
このレーザパルスはプラズマチャネルを形成する、つまり原子から電子を分離して数100μs内で光の速度付近まで加速し、全てがほぼ同じエネルギーになるようにする。単色電子パルス生成の要点は、全ての電子が衝撃波ポイントでスタートし、ガスジェットの終わりまで正確に同じ加速距離を進み、したがって同じエネルギーとなること。衝撃波がなければ、異なる電子がランダムな位置からスタートし、得られるエネルギーも異なる。Laszlo Veisz氏は「ノズルの上のレーザブレードの位置を変えることで、密度ステップの形成位置、加速距離の長さ、電子が獲得するエネルギーを決めることができる」と説明している。
完璧に成業した超短電子パルスを使ってフェムト秒の光フラッシュ生成、X線領域にも踏み込むことができる。医療応用も考えられる。コンパクトで安価な、高いビーム品質の、完璧に制御されたレーザ加速器は、新しい、投薬を減らしたX線イメージング技術の普及を促進し、多くの患者の診断に役立つ。
(詳細は、 www.mpq.mpg.de)

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