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パデュー大学、ナノ構造を見る超高分解能顕微鏡を開発

May 1, 2013, West Lafayette--パデュー大学の研究グループは、新しいタイプの超高分解能光学顕微鏡を用いて人工のナノ構造や分子を見る方法を見いだした。この顕微鏡では、バイオメディカルやナノテク研究の実用的なツールとなっている蛍光染色は必要としない。
従来の光学顕微鏡は、約300nm程度の分解能であるが、これはいわゆる「回折限界」による制限。回折限界は、試料を見るために使用される光の波長幅の半分と定義されている。しかし、研究グループはタンパク質や脂質、ナノチューブなどの人工ナノ構造を見たいと考えており、これらは直径数ナノ(nm)のサイズ。
このような能力は、医療からナノエレクトロニクスまで多様な領域の進歩を促進するものである、とパデュー大学バイオメディカル工学/科学助教授、Ji-Xin Cheng氏は説明している。
同氏によると、回折限界は光イメージング分解能の基本的限界。「マックスプランク研究所(Max Planck Institute)のStefan Hellや他の研究者は超高分解能のイメージング法を開発したが、これは蛍光ラベルが必要。われわれは、非-蛍光の光イメージングで回折限界を破る新しい方式を実証している。これは(蛍光)標識が不要であるので、信号は直接対象物からくる。ナノ構造についてより多くの情報が得られることになる」とCheng氏はコメントしている。
このイメージングシステムは、STAM(saturated transient absorption Microscopy)と言い、3つのレーザビームを使用する。これには、ドーナツ型のレーザビームが含まれており、このレーザビームは選択的にある分子を照射し、他の分子は照射しない。照射された分子の原子内電子は一時的に高いエネルギーレベルに押し上げられる、つまり励起される。一方、他の電子は基底レベルにとどまる。イメージの生成では、プローブレーザを用いて励起された分子と基底状態の分子とのコントラストを比較する。
研究グループは、グラファイトの「ナノ構造」を約100ナノメートル(nm)幅で取り出してこの技術を立証した。
Cheng氏は、「これは概念実証であり、自然と人工の両方で、ナノ材料の研究で大きな可能性がある」と語っている。
ドーナツ型レーザ励起技術は、Stefan Hellが発明したもので、これにより一段と小さな対象物に焦点を絞ることができる。研究グループは、このイメージングシステムを改善して直径10nm程度、現行の光学顕微鏡を用いるよりも約30倍小さなものを見ることができるようにしようとしている。
(詳細は、Nature Photonics online)


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