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ナノスケールルータで光信号を変換して伝送

May 1, 2013, Cambridge--ハーバード大学を中心とした研究チームは、金属表面を伝搬する波に光を変換する新しいタイプのナノスケールデバイスを開発した。このデバイスは、偏向光を認識して信号を送り出す方向を決めることができる。
この成果から得られるのは、データを運ぶ信号を損なうことなくサブ波長スケールで正確に光を操作する新しい方法。光デバイスから電子デバイスへ効率よく情報を流す、新しい世代のオンチップ光インタコネクトへの扉が開く、と研究チームは考えている。
ハーバード大学工学/応用科学学部(SEAS)大学院生で、論文の著者の1人、Balthasar Müller氏は、「多くのコンポーネントをもった微小なチップでデータ信号を送ろうとすると信号の行き先を正確に制御できなければならない。それができないと、情報は失われる。指向性が極めて重要な要素であると言うことだ」と話している。
入ってくる光を、カプラが表面プラズモンポラリトン(SPP)と言う波に変える。これは金属内に存在する電子の海における小さな表面波。
以前は、光がカプラ面に当たる角度を変えることでこれらの波の方向を制御していたが、Müller氏によると、ここには大きな問題があった。「光回路は調整が極めて難しいので、信号をルーティングするために角度を再調整することは実用的ではなかった」。
新しいカプラでは、光は垂直に入ってくるだけでよい。後はデバイスが行う。デバイスは、交通信号機のように動作し、入力波の偏向を読み取る。直線、左回り、右回り、それぞれの偏向に応じてルーティングする。このデバイスは光ビームを分けることさえでき、その部分部分を異なる方向に送り出すので、複数チャネルに情報を伝送できる。
カプラは、微小孔が点在する薄い金箔でできている。このスリットの正確なパタンは、ヘリンボン(矢筈模様)になっており、ここに特徴がある。
「これまでの主要なソリューションは、グレーティングとして知られる一連の平行な溝だった。これで目的を達成できるが、その過程で信号の多くの部分が失われる。今では、恐らく主流となるのはわれわれの構造だろう。これによって、信号の方向を非常にシンプルに、エレガントな方法で制御できる」とハーバードSEASのシニアリサーチフェロー、Federico Capasso応用物理学教授は言う。
この新しい構造は非常に小さく、パタンの各反復ユニットが可視光の波長よりも小さいので、例えばフラットオプティクスのような新しい技術にこのデザインを容易に組み込める、と研究グループは考えている。
Capasso氏によると、この新しいカプラを将来の高速情報ネットワークに組み込むことが可能であると言う。ナノスケールのエレクトロニクスと光素子、プラズモン素子を1個のマイクロチップ上で統合したような高速情報ネットワークについて同氏は話している。


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