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テラヘルツ波 大気減衰率データ 無料提供サービスの開始

April 19, 2013, 東京--情報通信研究機構(NICT)は、テラヘルツ波を無線通信やリモートセンシングに利用するための先端的な研究開発を推進している。その一環として、テラヘルツ波が空間中の水蒸気等によって吸収されて減衰する割合を実測データに基づいて精度よく見積もる技術を開発した。
NICTは、その最新成果が広く活用されるように、「テラヘルツ波大気減衰率」を計算してホームページ上に表示する無料データ提供サービスを開始した。
従来、テラヘルツ波大気減衰率を知るためには、モデル方程式を用いた複雑な計算が必要であったことに加え、それらの数値の不確定性も非常に大きかった。今回公開するサービスは、最新の実測結果に基づく新たなデータを用いて、大気中におけるテラヘルツ波減衰率をより簡便に信頼性の高い値として見積もることを可能にする。この技術により、今後のテラヘルツ波を用いた無線通信や様々な製品開発などにおいて、「大気中でテラヘルツ波が届く距離」をあらかじめ的確に見積もり、より信頼性の高い通信技術や製品の設計に反映させることが可能になるなど、多方面の用途に役立つことが期待される。
テラヘルツ波は、大気中での減衰が大きいといった特徴がある。そのため、テラヘルツ波の利用には、大気中でテラヘルツ波が届く距離を見積もることが必要であり、通常、シミュレーションによってテラヘルツ波大気減衰率の計算を行う。そのためには、大気中の水蒸気に関するテラヘルツ波の分光パラメータ(テラヘルツ波の周波数ごとの吸収特性に関するパラメータ)が必要。従来の方法では、信頼できる実測データがなかったため、テラヘルツ波よりも周波数が高い赤外線領域や、テラヘルツ波よりも周波数が低いミリ波領域(300GHz以下)を対象に作成されたデータベースから、それらの間にあるテラヘルツ領域の特性を推定する方法が採られてきた。しかし、それらは、赤外域や電波領域に関するデータに基づいてテラヘルツ領域の値を推定する方法であったため、必ずしも信頼できるデータではなかった。
NICTは、理化学研究所と協力して、テラヘルツ領域をターゲットとして広帯域かつ精度の良い水蒸気分光パラメータの実測に成功し、そのデータを、NICTが開発したテラヘルツ波大気伝搬モデルAMATERASUの計算プロセスに導入した。この実測データに基づくAMATERASUモデル計算の実現により、テラヘルツ波減衰率を見積もる計算の精度が飛躍的に向上した。
AMATERASUによるテラヘルツ波大気減衰率データは、電気通信分野における国際連合の専門機関である国際電気通信連合の無線通信部門(ITU-R)により、国際標準に参照すべきデータとして受理されている(2009年5月)。

サービスページの案内
詳細は、 https://smiles-p6.nict.go.jp/thz/jp/decay.html/a>

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