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カールスルーエ工科大学、多結晶ダイヤモンドを光回路材料に使用

April 16, 2013, Karlsruhe--カールスルーエ工科大学(KIT)の研究グループは多結晶ダイヤモンドを用いて初めて光回路を作製し、Nature Communicationsに発表した。
研究グループリーダー、Wolfram Pernice氏によると、ダイヤモンドはすぐに使えるオプトメカニカル回路をモノリシックに作製できる数々の特徴を備えている。同氏が例に挙げているのは、共振器、回路、ウェハなどで、「高品質であるので魅力的だ」とコメントしている。
ダイヤモンドは、400〜750nmの可視光を含む幅広い波長の光に対してトランスペアレントであり、センサ技術、蛍光イメージング用途のオプトメカニカル回路で特に有用である。また、生物の新しい光計測法にも適用できる。ダイヤモンドは高い屈折率と吸収がないことから、効率的なフォトンの伝送が可能であり、一方で高い弾性係数をもつダイヤモンドは耐久性の高い材料でもある。粗面への順応性が優れており、放熱も早い。
これまで、光回路は単結晶ダイヤモンド基板を用いて作製されてきた。これは高純度の結晶で、10億のダイヤモンド原子に1個の不純原子しかない結晶。そのような回路は小さくならざるを得ず、光システムへの適用には高度な製法が必要となる。
Perniceの研究グループは、ウェハベースのオプトメカニカル回路の作製に初めて多結晶ダイヤモンドを用いた。結晶構造は不規則ではあるが、多結晶ダイヤモンドはロバストであり加工は相対的に容易。この特徴により、多結晶ダイヤモンドは単結晶ダイヤモンドよりも遙かに大きなサイズで利用することができる。多結晶ダイヤモンドは、単結晶基板とほぼ同様の光伝導性があり、工業利用に適している。実際のところ、この新しい材料なしにはモノリシックなオプトメカニカル・コンポーネントの作製はできない。
オプトメカニクスは、集積オプティクスと機械構成部品を統合、Pernice研究グループが開発したオプトメカニカル回路の場合では、ナノメカニカル共振器と統合する。この共振系は特定の周波数に反応する。その周波数が生ずると、その共振器が励起されて振動する。「ナノメカニカル共振器は、現状で最も高感度のセンサであり、様々な高精度計測に使用できる。この研究では、ナノフォトニックコンポーネントがナノスケールのメカニカル共振器と同サイズで作製できることを利用した。共振器が応答する時、それに応じた光信号が回路に直接転送される」と論文の筆頭著者、Patrik Rath氏は説明している。この新しい開発により、これまでの別の分野を結びつけ、高効率のオプトメカニカル回路が実現可能になった。
集積オプティクスは、集積電子回路と同じように動作する。光回路はフォトンで情報を伝達し、従来の電子回路は電子でデータを伝送する。集積オプティクスの狙いは、光通信で必要とされるすべてのコンポーネントを集積光回路に統合し、電気信号を回避することにある。いずれの場合でも、それぞれの回路は1mm以下の厚さに、つまりウェハに適用できる。

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