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NIST、光パワー計測を簡素化するオンチップナノチューブを開発

February 6, 2013, Gaithersburg--米国標準技術局(NIST)は、カーボンナノチューブでできた新しいチップスケール測定機器の実証実験を行った。これにより、レーザパワー、特に通信ネットワークの光ファイバで伝送された光信号の絶対計測が簡素化される。
プロトタイプデバイス、極低温放射計の小型バージョンは、円形のカーボンナノチューブを上に載せたシリコンチップ。このミニ放射計は、ナノチューブを使ったNISTの以前の成果をベースにしている。これは、世界で最も暗黒な物質として知られるもので、超効率的な高精度の光パワーディテクタになる。また、これによってキャリブレーション用にファイバで送られてきたレーザパワーを計測するNISTの能力が一段と進歩したことになる。
プロジェクトリーダー、John Lehman氏は、「これは間違いなく、カーボンナノチューブを使った最高に素晴らしいものだ。暗黒であるだけでなく、電気ヒータのようなコンポーネントを真に多機能にするのに必要な温度特性も備えている」と話している。
NISTの研究チームは不完全な実験セットアップの限界の中で、このミニ放射計がレーザパワー(光ファイバで送られてきたもの)と同等の電力の2つを正確に計測することを見出した。テストは、通信波長1550nmを使って温度3.9Kで行われた。
VANTAs("vertically aligned nanotube arrays")と言う高く細いナノチューブの小さな円形のフォレストには望ましい特性がいくつかある。最も重要な点としてNISTが挙げているのは、幅広い波長範囲で均一に光を吸収し、電気抵抗が温度に依存すること。多用途のナノチューブは、放射計で3つの異なる機能を示す。1つのVANTAマットが光吸収体(アブソーバ)と電気ヒータと両方の働きをし、2つ目のVANTAマットがサーミスタ(電気抵抗が温度とともに変化するコンポーネント)として働く。VANTAマットは、微小加工シリコンチップ上に成長したもので、機器設計は簡単に変更したり、複写したりできる。このアプリケーションでは、個々のナノチューブは直径約10nm、長さ150nm。
対照的に、通常の極低温放射計は使用する材料タイプがもっと多く、作製も難しい。一般に、光吸収体としてのカーボンを塗布したキャビティ、ヒータとしての電線、サーミスタとしての半導体を用いて手でアセンブリする。さらに、これらの機器はその感度を調整するためにモデルを作り、大規模に特性評価する必要がある。それに対してNISTのミニ放射計の同等機能はシリコンに簡単に模型を形成するればよい。
NISTは、このチップスケール放射計の特許申請を予定している。温度安定性の改善などの単純な変化により、デバイスのパフォーマンスが大幅に向上することが期待できる。今後の研究では、レーザパワーの範囲を遠赤外にまで広げ、放射計を「NIST on a chip」デバイスに集積することにも取り組む。

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