All about Photonics

Home > News > News Details

News Details ニュース詳細

ヘリカル光ビームをカウントするフォトディテクタ

January 15, 2013, Cambridge--捻れた光ビームが注目を集めている。これはoptical vortex/vortex beam(光渦)と呼ばれており、この複雑なビームは回転しながら伝搬する。
最近、ハーバード大学工学・応用物理学(SEAS)の応用物理学者が、従来の光ディテクタ(通常、これは光強度しか検出できない)でその回転を捉えることができる新しいデバイスを作製した。
Nature Communicationsに掲載されたこのデバイスは、今後の光通信ネットワークに機能を付加する可能性がある。
主席研究者Federico Capasso、応用物理学Robert L. Wallace教授、SEAS電気工学シニア研究フェローVinton Hayesによると、渦巻きビーム用の高機能光ディテクタは以前に開発されたことがあったが、高価で大きかった。
一方、新しいデバイスは、市販のローコストフォトディテクタ(PD)に金属パタンを付加しただけのものだ。各パタンは、軌道角運動量(光渦における波長あたりの捻れ数)とマッチさせて入力渦巻きビームの特殊タイプと結合するように設計されている。
この新しいディテクタは、ビームの「ねじれ」に感度があるので、異なるタイプのねじれビームを効果的に判別できる。既存の通信システムは、多くのメッセージを同時に送ることで帯域利用を最大化している(WDM技術のこと)。ねじれビームによって、多重のレベルがさらに上がり、これらのシステムの容量が拡大する。
Capasso氏は、「研究者たちは、シングルモードファイバ(SMF)を使用してWDM通信システムで伝送容量を100Tbps以上にすることに限界があると考えるようになっている。今後、特殊なマルチコア、マルチモードファイバで渦巻きビームを用いることにより、伝送容量が飛躍的に拡大すると考えられる。この空間多重ベースの伝送システムでさらに容量を増やすには、渦巻き伝送を判別できる特別なディテクタが重要になる」と説明している。
この新しいディテクタは、正確なナノスケールのパタンで渦巻きビームのパタンを判別することができる。波長あたり誤りのないコイル(渦巻き)数が分かっている渦巻きビームがディテクタ面に被覆した金に当たると、金にエッチングされたホログラフィック干渉パタンにぶつかることになる。このナノスケールのパタニングにより、光は表面プラズモンとして知られる集中的電磁波を理論通りに励起する。この波の光成分は次に、金の一連の編み目を透過し、その下のフォトディテクタに達する。
入力光が干渉パタンと一致しない場合、プラズモンビームは集光せず、ブロックされてディテクタにとどかない。
Capassoの研究チームは、軌道角運動-1, 0, 1の渦巻きビームを用いてこのプロセスを実証した。
SEASの応用物理研究助手、論文の筆頭著者、Patrice Genevet氏は「原理的に、多くの異なるカプラやディテクタのアレイをセットアップして非常に多くのチャネルで、送られてきたデータを読むことができる。このアプローチにより、これまで光強度にしか感度がなかったディテクタを変えて、波面のねじれをモニタするようにできる。単に特定のねじれビームを検出するだけでなく、われわれのディテクタは光ビームの位相情報も収集することができる」と話している。
渦巻きビームを検出し判別するデバイスの機能は光通信にとって重要であるが、その機能は実証した範囲を超えて広がる可能性がある。
「同じホログラフィックアプローチを利用して、パタンを変えた同じデバイスが任意の自由空間光ビームを結合して任意の表面波にすることができる」とGenevet氏はコメントしている。

製品一覧へ

関連記事

powered by weblio





辞書サイトweblioでLaser Focus World JAPANの記事の用語が検索できます。

TOPへ戻る

Copyright© 2011-2013 e.x.press Co., Ltd. All rights reserved.