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Caltechの研究者、テラヘルツ波を発生する微小シリコンチップを開発

December 13, 2012, Pasadena--カリフォルニア工科大学(Caltech)の研究グループは、微小で安価なマイクロチップを開発した。このチップは、テラヘルツ(THz)波を生成し、発振する。テラヘルツ波は、マイクロ波と遠赤外スペクトラムの間、電磁スペクトラムの未利用領域であり、X線のように電離損傷を与えることなく多くの物質を透過することができる。
この新しいマイクロチップをハンドヘルド機器に実装することで、国土防衛から無線通信、ヘルスケア、タッチレスゲームまでの幅広いアプリケーションが可能になる。将来的には、この技術は特に非侵襲癌診断にも使えるようになる可能性がある。
「今日の携帯電話やノートパッドに見られるマイクロチップ製造に用いられる同じローコストIC技術を使うことで、約300倍の速度で動作するシリコンチップができた。このチップにより、新しい時代の極めて多様なセンサが可能になる」とCaltechの電気工学Thomas G. Myers教授、ポスドク研究者Ali Hajimiri氏は言う。
研究者は以前から、0.3~3THzのテラヘルツ波がスキャニングやイメージングに有用であると主張してきた。そのような電磁波はパッケージング材料を容易に透過して高解像度で詳細画像を生成し、薬品、バイオ兵器、違法薬物、爆発物などの化学的フィンガープリントを検出する。しかし、ほとんどの既存THzシステムは、大きくて高価なレーザセットアップを必要とする。これは、極低温冷却を必要とすることもある。THzの潜在的なイメージングやスキャニングは、コンパクトなローコスト技術がないために、利用されていない。
テラヘルツ波の価値を真に実現するために、Hajimiri氏とSengupta氏はCMOS技術を用いた。これは、通常の電子デバイスで普通に用いられているもので、完全集積機能を持つシリコンチップを設計することができる。これは、THzで動作するが、指先の乗るほどのサイズである。
新しいチップからの信号は、現行のアプローチと比べると1000倍以上強力であり、指向性を持たせることができるTHz信号を発振し、世界初の集積THzスキャニングアレイとなる。
そのスキャナを使用することで、研究者はプラスチック内のカミソリの刃を発見したり、鶏肉の脂肪分を特定したりすることができる。「これは可能性について言っているのではない。実際にできることが実証されているのだ。初めて実際の画像を見たとき、とても驚いた」とHajimiri氏はコメントしている。
Hajimiri、Sengupta両氏は、CMOS技術を実用的なTHzチップにするために多くの障害を乗り越えなければならなかった。1つは、シリコンチップは簡単にはTHz動作するよう設計できないことだ。全てのトランジスタは周波数、いわゆるカットオフ周波数を持つ。それ以上では信号を増幅することができない。標準的なトランジスタでTHz範囲で動作するものはない。
カットオフ周波数の問題を回避するために研究チームは、多くのトランジスタが協調して動作する集合力を利用した。もし複数の素子が適切な時間に適切な周波数で動作すると、そのパワーを統合して、集合的に信号の力を強化できる。
「カットオフ周波数を超えてトランジスタを動作させる方法を発見した。カットオフ周波数を約40%、50%上回っているが、われわれの新しい方法で多くのパワーを生み出すことができる」とSengupta氏は説明する。「もしこうした素子を同期させ、アリの大群のように働かせると、それは象がすることを何でもできるようになる」と同氏は言う。
そのような高い周波数では配線は使えない、マイクロチップサイズの従来のアンテナも非効率。代わりに、シリコンチップ全体をアンテナの中に入れる方法を考案した。沢山の小さな金属片をチップに搭載すると、それら全てが一定時間、一定強度で動作して一斉に信号を放射する。
論文のタイトルは「CMOSベース分布アクティブ放射器で0.28 THzパワー生成、ビーム指向アレイ」(A 0.28 THz Power-Generation and Beam-Steering Array in CMOS Based on Distributed Active Radiators)。チップ製造はIBMが協力した。
(詳細は、December issue of IEEE Journal of Solid-State Circuits.)

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