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旧い木彫の有害殺虫剤検出にテラヘルツ照射を利用

December 4, 2012, Dresden--テラヘルツスキャナを使うことで、迅速、完璧、非破壊的に芸術作品に何が起こっているかを特定することができるようになる。旧い木彫に有害な殺虫剤を検出する、隠れた壁画を再び可視化する、絵画の層構造を解析することができる。フラウンホーファー研究所の研究チームは、新世代のスキャナを発表した。
ドイツ、ドレスデンのフラウンホーファー材料ビーム技術IWS研究所、Michael Panzer氏の研究チームは、Dresden Hygiene Museum(ドレスデン衛生博物館)でかなり以前に紛失したと思われていたゲルハルト・リヒター(Gerhard Richter)の壁画を調べていた。画家がドイツ民主共和国を離れる少し前にその絵を職人の作業に残していき、1960年代に、その絵の上にぞんざいに別の絵が描き込まれた。しかし、Panzer氏の関心事はその絵ではない。ここで初めて使われる新しいディテクタへの関心が遙かに高かった。それを使って、研究チームは、壁の層構造と、調査される描画部分の構造について重要な情報を取得した。
Panzer氏によると、このテラヘルツ(THz)スキャナの特別な点は、例えばX線スキャナのような従来のプロセスと比べて、絵画にダメージを与えないで処理できる点にある。また、X線の場合と異なり、特別な許可も不要。これは、テラヘルツスキャナが1μW以下の照射パワーしか必要としないためである。比較として、携帯電話は2Wまでの照射となる。その上、このプロセスは、個々のレイヤもしくは空洞エリアの可能性について具体的なデータを提供してくれる。このようにして、この機器は博物館で、あるエリアの壁の漆喰が明らかに修復されていること、修復人の貴重な手がかりを発見した。
研究チームは、ほとんど減衰なく様々な材料を透過する電磁パルスを用いた。ある材料は、特徴的な吸収線を示し、これにより物質を特定することができる。しかし、以前のテストでは、システムの限界が明らかになった、例えば壁の後の絵画が平坦でない、構造化された壁(walls)に描かれていたというような事情による。このためIWSの研究チームは、THzオプティクスの改善、ディテクタヘッドの開発を、フラウンホーファー研究所物理計測技術IPMとともに進めた。スキャナのアプリケーションスペクトラムも拡張された。
現在、殺虫剤に汚染されることを理由に、貴重な展示物を公開できない美術館は多い。1970年代、古い布地や木彫りの彫刻を保護するために、それらに殺虫剤がかけられた。今日では、こうした殺虫剤は害があることが知られており、多くの多様な対策、汚染除去工程がテストされている。IWSは、パートナーとともに、有機殺虫剤に対するTHz技術の可能性と限界を調べるプロジェクトを立ち上げようとしている。THzスキャナは、分子結合構造をベースにして物質を識別する。特に有機殺虫剤は、そのような方法で区別することができる。
今日まで、そのような高価な実験は設備の整った実験室でしかできなかった。将来的には、そのようなテストはモバイルスキャナを使用してオンサイトでできるようになる。とは言え、そのような目的に適した小型可搬の機器が利用できるようになるまでにはさらに研究が必要となる。THz計測システムの継続的な技術改善には、取り分け、修復者や遺跡保護者との密接な情報交換と協調が必要となる。

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