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東芝ケンブリッジ研究所、量子暗号を既存通信ネットワークに適用

November 26, 2012, Cambridge--東芝ヨーロッパ(Toshiba Research Europe Ltd)のケンブリッジ研究所は、ケンブリッジ大学工学部と協働して、権限のない盗聴から通信ネットワークを守るブレイクスルーを発表した。
両研究機関は、通常の通信ファイバ伝送データトラフィックから量子暗号に使用する微弱信号を取り出すことに成功した。これは、既存の通信ネットワークが、この究極の暗号化形式によって安全性が確保できることを意味する。
量子暗号は、秘密のデジタル鍵を配信するために使用され、銀行の取引明細、健康記録、デジタルIDなどの個人のデータ保護に重要な役割を果たす。その安全性は、デジタルキーの各ビットを単一光子(シングルフォトン)にエンコードすることに依存している。
これまでは、ネットワークで通常のデータ信号を送るファイバとは別の専用線で光子を伝送する必要があった。データ信号は、量子暗号に使用するシングルフォトン信号よりも遙かに強度が強く、事実上データの1ビットは100万を超えるフォトンで伝送される。この信号強度の違いは、もし両者を同じファイバで伝送すると、データ信号によって生ずる散乱光がシングルフォトン信号を劣化させ、感知できなくさせることを意味する。
東芝リサーチヨーロッパのアシスタントマネージングディレクタ、Dr Andrew Shieldsは、「これまで、ファイバを別にする必要があったことで、量子暗号のアプリケーションが大きく制限されていた。シングルフォトン伝送用に、未利用のファイバがいつでも見つかるわけではなく、例えあったとしても非常に高価である。今は、シングルフォトンとデータ信号を、同じファイバで波長を別にして送ることができる」と話している。
ケンブリッジの研究チームは、シングルフォトンの予想到達時間で、極めて短いウインドウ(1億分の1μs)に感度があるディテクタを用いることでこれを可能にした。このディテクタは、主にシングルフォトンのみに応答し、データ信号による散乱光には感度がない。これにより、微弱なシングルフォトン信号を、ファイバから検出することができる。
この技術を用いてケンブリッジの研究チームは、通常の通信ファイバで、データを同時に双方向に1Gbpsで伝送しながら、量子暗号の実装に成功した。実証されたのは、50kmのファイバで安全キーレート500kbps、これはこのファイバ長でこれまでに達成された最高値よりも50000倍高いレートになっている。

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