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理研とNEC、量子ビットを高精度に読出すための新回路を実証

November 7, 2012, 東京--理化学研究所と日本電気(NEC)は、量子ビットのエネルギー緩和率を増大することなく量子ビットの読出し信号を増大させる手法を実証し、量子ビットの読出し精度90%を達成した。
これは理研基幹研究所物質機能創成研究領域 単量子操作研究グループ 巨視的量子コヒーレンス研究チームのツァイ ヅァオシェンチームリーダー(NEC中央研究所 スマートエネルギー研究所主席研究員兼務)らの研究チームの成果。
PCをはじめとするコンピュータのほとんどは、0または1を記憶する「ビット」を情報の基本単位として動作する。次世代コンピュータとして研究が盛んな量子コンピュータにおいて、ビットに相当するのが「量子ビット」であり、その量子ビットの状態の正確な読出しが、量子コンピュータの実現に向けた重要な課題。現在、有望な手法として、量子ビットとLC共振器を結合させ、量子ビットの状態に応じて共振器の共振周波数が変化することを利用する「分散読出し」と呼ばれる方法が盛んに研究されている。分散読出しの場合、量子ビットの状態を判別するための信号強度は、量子ビットと共振器の結合を強くしたり、量子ビットと共振器の共振周波数を近づけることで大きくできるが、どちらの方法も量子ビットのエネルギー緩和率を増大させるという欠点があった。この欠点を克服するために、2007年に米国のイェ―ル大学の研究グループは、「量子ビットの高エネルギー準位状態を用いる手法」を理論的に提案していたが、実証には至っていない。
理研/NEC研究チームは、磁束型量子ビットとLC回路をコンデンサで介して接続した回路を作製して実験。読出し信号を5倍以上に高め、また、実際に量子ビットを90%の精度で読出すことに達成した。
今回の成果は、量子計算のエラー訂正において必要となる「1度の試行による高精度読出し」にも応用できる。
詳細な理論解析により、量子ビットとLC共振器をコンデンサーで介して接続すると、量子ビットの高エネルギー準位が読み出し信号の増幅に寄与することが分かっていたため、研究チームは、超伝導体のニオブで作製したLC共振器と超伝導体のアルミニウムで作製した磁束型量子ビットを、コンデンサーを介してお互いに結合する回路を作製した。この回路の特徴は、量子ビットとして磁束型の量子ビットを用いていること、量子ビットと共振器の結合を、従来磁束量子ビットに対して用いられていたコイルではなく、コンデンサーを用いたことにある。
作製した回路を用いて実験し、量子ビットの状態0と状態1の共振周波数の差(読出し信号)が、80MHzとなった。高エネルギー準位からの寄与が全く無いと仮定した計算値14MHzと比較すると、5倍以上も読出し信号が増大していることになる。
次に、この大きな読出し信号を用いて量子ビットを実際に読出す実験を行った。量子ビットの状態を状態0と状態1の間で遷移させるために、量子ビットにマイクロ波パルスを照射させた。その結果、約90%の振動振幅を観測、つまり、読出し精度90%という高い値を実現した。
今回は、測定系のノイズの影響を除去するために多数回の平均値を用いて測定していたが、実際の量子コンピュータを用いて計算するときは、1度の試行による量子ビットの状態を高精度に決定することが要求される。
今後、研究チームは、回路にパラメトリック増幅器などの低雑音増幅器を用いることで、1度の試行による高精度読出しの実現を目指す。
(詳細は、www.nec.co.jp)

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