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次世代マイクロセンサを開発

October 29, 2012, Pasadena--カリフォルニア工科大学(Caltech)とロチェスタ大学の研究チームは超高感度加速度計を開発した。この最新のマイクロセンサは、一段と現実に近づいた。
そのようなセンサは、家電の領域を超えて、地中深く石油やガスの探査に役立つ。また、戦闘機の安定化システム向上にも貢献する。従来のセンサでは対応できないような生物医学アプリケーションの領域で使われる可能性もある。
この新しい加速度計では、運動計測に電子回路を使うのではなく、レーザ光を用いる。デバイスのサイズは小さいが、極めて高感度の運動プローブセンサであり、質量が小さいために、動作周波数の範囲が大きい。現状の最高感度のセンサよりも数千倍高速な、数10マイクロ秒(μs)の動作を検知できる。
CaltechのKavli Nanoscience Institute, 応用物理学教授、Oskar Painter氏は、「われわれが開発した工学的構造により極めて高いパフォーマンスの光センサが可能になることを示した。小型化して組込み、いずれ商用化することになる」とコメントしている。
一般的には知られていないが、マイクロチップ加速度計は今日の生活では全く珍しくない。車のエアーバッグシステム、ナビゲーションシステム、カメラや携帯電話などの他のタイプのセンサ関連に用いられている。小型、低価格であるために商用利用に成功している。
加速度計は、変位検出器を用いて試験質量の動きを計測することで機能する。ほとんどの場合、ディテクタ(検出器)には電子回路が採用されている。しかし、レーザ光は最高感度の位置計測方法の1つであり、光学的読み出しを利用するそのようなデバイスの実現に対する関心は以前からあった。例えば、LIGO(Laser Interferometer Gravitational-Wave Observatory)のようなプロジェクトは光干渉計を利用するもので、これは数km離れた位置にあるミラー間で反射するレーザ光を利用してエンドミラーの相対的な動きを高感度に計測する。レーザの固有雑音は極めて少ない、つまり強度の変動が極めて少なく、光の量子特性そのものによる制限しか受けないので、極めて小さな変位の検出が遙かに簡単にできる。
こうした大規模干渉計の小型版作製はこれまでに試みられてきたが、ほとんど成功していない。小型化の1つの障害は、試験質量が大きくなればなるほど、センサが加速された時の動作がますます大きくなることである。したがって、センサを大きくすれば加速度検出は一段と簡単になる。また、光学的加速度計で、電子よりも光を取り扱うと、全ての要素(レーザ、ディテクタ、干渉計)をマイクロパッケージに集積することが課題になる。
Painter氏は今回の成果について、「シリコンマイクロチップを利用して大規模光干渉計というコンセプトをナノスケールに微小化できることを示した。要諦は、われわれが作ったこの小さな光キャビティで動きを読み取るところにある」とコメントしている。
光キャビティは約20μm長、幅は1μm、厚さは1μmの数10分の1。2つのシリコンナノビームで構成されており、ジッパーの両サイドのようになっていて、片方は試験質量に取り付けられている。レーザ光がシステムに入射すると、ナノビームが「ライトパイプ」(光導体)のように機能して、ナノビームのホール(穴)間で共振する場所に導波する。拘束された試験質量が動くと、2つのナノビーム間のギャップが変化し、そのシステムからの反射レーザ光の変化となる。反射されるレーザ信号は、試験質量の動きに対する感度が極めて高く、1秒のタイムスケールで数フェムトメートル(fm)の変位(陽子の直径程度)を検出する。
研究チームは、この光加速度計をシリコンマイクロチップの中でレーザやディテクタと集積することを考えている。マイクロエレクトロニクスの企業は過去10~15年、レーザとオプティクスをシリコンマイクロエレクトロニクスに集積しようとしてきた。これを実現するために、なすべき事はまだ多いが、これらの企業が成し遂げた技術的成果をベースにして、超高感度干渉計のマイクロバージョンの実現ができそうになってきている。

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