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太陽光を高効率でレーザ光に変換できるCr,Nd:CaYAlO4 結晶を開発

September 26, 2012, 和光--北海道大学大学院工学研究院、樋口幹雄准教授と理化学研究所基幹研究所光グリーンテクノロジー特別研究ユニット 和田智之ユニットリーダーらの研究グループは,太陽光のエネルギーを高効率でレーザ光に変換できるCr,Nd:CaAlO4 結晶の開発に成功した。
この結晶は,太陽光のエネルギーが最大となる波長帯近傍の波長(500nm)で十分に大きい吸収を示すとともに,従来材料の吸収が最大となる波長(430nm)で比較すると70 倍以上の吸収断面積を有することから,高効率で太陽光エネルギーを吸収できるとともに,その吸収したエネルギーにより近赤外領域で強い蛍光を示すもので,特許出願している(特願2012-148655)。
この結晶を使ったレーザは,エネルギー蓄積の媒体として注目されているマグネシウムの精錬などに利用できることから,新しい持続可能なエネルギー源としての応用が期待できる。
太陽光のエネルギーが最大となる500nm 帯近傍の波長で大きな吸収係数,吸収断面積を有するレーザ媒質の候補として,Nd の発光帯での自己吸収をなくせる構造で,かつCr3+およびNd3+を同時に置換固溶できるCaYAlO4 に着目し,CaYAlO4 にクロム(Cr)とネオジム(Nd)を同時に適量添加した結晶を,浮遊帯溶融法と呼ばれる手法を用いて作製。作製時の成長速度や雰囲気などの条件を適切に制御することにより,赤色透明の結晶が得られた。
開発したCr,Nd:CaYAlO4 結晶は,紫外領域から可視領域にわたる非常に幅広い吸収域をもち,太陽光のエネルギーが最大となる500nm 帯近傍の波長でも十分な吸収を示した。また,従来材料であるCr,Nd:YAG と同じ波長(430nm)でその吸収断面積を比較すると,70 倍以上の大きい値を示した。このような吸収特性は既存の材料にはなく,開発したCr,Nd:CaYAlO4 結晶に特有。さらに,クロムによって吸収されたエネルギーの大部分は効果的にネオジムに移動していることが,その蛍光特性から実証された。これらから,この結晶材料を用いることにより,太陽光エネルギーを高効率でレーザ光に変換できるものと期待される。

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