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ILT、CFRP加工やレーザ損傷耐力試験結果を紹介

July 10, 2012, Tokyo--レーザー技術総合研究所(ILT)の2011年度の研究成果の報告会が、5日に東京都千代田区で行われた。ILTはレーザ技術を中心とした光技術の研究を行うとともに、産業界への展開を促進しており、今年で設立から25年となる。報告会では炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の加工技術や光学素子のレーザ損傷耐力試験、またトンネルや架橋のコンクリート壁の欠陥検査などが報告された。
CFRPについてはフェムト秒レーザによる加工の実例が紹介された。CFRPは軽く熱伝導性が高い、強度が大きいなどの特長により注目されているが、切断加工が難しい。エッチングなどもできないためレーザ加工が有望な手段の一つとなっている。講演ではPAN系とピッチ系の2種類のCFRPのうち、繊維軸の方向に配向した結晶構造を持っており、しなりにくく振動しにくいピッチ系について報告した。ピッチ系は熱伝導率が非常に大きく熱膨張率もほぼ0のため、特殊分野での活用が期待される材料である。加工し易い繊維方向に沿って、パルス幅200psで500μm厚さのCFRPに100μm幅のITO配線用マスクを試作した結果などを示した。さまざまな幅のスリットを形成するとともに、線幅50μm以下の微細加工が可能であることを実証した。
レーザ損傷耐力試験についての報告では、国内メーカーの光学部品の損傷閾値の傾向などが示された。この検査によって光学素子メーカーは自社の製品の品質を確認するとともに、ユーザにはデータを基にした光学系設計の参考にすることを目的としている。試験では高反射コーティングおよび反射防止コーティング素子について各メーカーに提供してもらい、損傷閾値のデータを計測した。今までに1064、532、355nmのデータを取得しており、今回の発表では新たにKrFエキシマレ―ザの波長248nmについて報告した。おおむねの傾向としては、反射防止コーティングより高反射コーティングのほうがばらつきが大きいこと、波長が短くなるほど各社のコーティング技術よりも材料自体のバンドギャップへの依存が大きくなることがわかったという。
コンクリート欠陥検査技術では、レーザの衝撃波を使った検査が報告された。老朽化によるトンネルや架橋のコンクリートの剥落が問題となっており、現場では打音検査が主に採用されている。ハンマーで叩いた時に発生した音の周波数が低い場所は、空洞や剥離があると判断する。しかし人が叩いて確認するため、時間が掛かることと、人によって熟練度が違うことが欠点である。そこでILTでは、ハンマーの代わりにレーザで衝撃を与え、別の検出用レーザの干渉によって検出する方法を検証した。レーザをトラックの荷台などに載せ、衝撃波用レーザをスキャンあるいは複数用意することで時間短縮を図ることができるという。実験では新幹線用トンネルの中での振動検出を実証することができた。次は高速道路などの振動が大きく、同じシステムでは干渉を検出できないところについて、参照レーザを追加して試験を行う予定だという。
同研究所ではウェブサイトなどでレーザ利用に関する技術相談に応じている。またそこから共同研究や受託研究なども行っている。
7月18日には大阪府豊中市において成果報告会および25周年記念講演会が開催される。
(詳細は、www.ilt.or.jp/event-seika.html)

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