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ナノテクで蛍のエネルギーを活用

July 6, 2012, NewYork--シラキュース大学(Syracuse University)の芸術・科学学部の研究グループはナノサイエンスを使って蛍(生物発光)が発光する自然の光を活用する新しい方法を開発した。このブレイクスルー技術により、従来の実験と比較してシステム効率が20~30倍向上した。
これは、SUの工芸科化学助教授、Mathew MayeとPh.D.候補、Rabeka Alam氏が実験室で作製したカスタム量子ナノロッドのサイズと構造による成果。
Maye氏によると、蛍は生物発光の自然の好例であり、光は極めて明るく効率がよい。「生物と非生物のコンポーネント間のインタフェースを操作することで非生物アプリケーションに生物を利用する新しい方法を見いだした」。
蛍は、ルシフェリンと発光酵素との化学反応で光を生成する。Maye実験室で、酵素をナノロッドの表面につけ、後でルシフェリンをつけて燃料とした。燃料と酵素が相互作用するときに発せられたエネルギーがナノロッド表面に移転し、ロッドが光る。このプロセスは生物蛍光共鳴エネルギー移動(BRET)と言う。
Maye氏によると、このシステムの効率向上の秘訣は、酵素とロッド面との距離を縮め、ロッドアーキテクチャを最適化することにある。研究チームは、遺伝子操作された発光酵素を直接ナノロッド表面に化学的につける方法を考案した。
ナノロッドは硫化カドミウム外皮とセレン化カドミウムコアでできている。両方とも半導体材料。コアのサイズ、ロッドの長さを操作して、生成する光の色を変える。ラボで作った光は蛍に相応しい色ではないが、Maye氏のナノロッドは緑、オレンジ、赤の光を発した。自然の蛍は黄色がかった光を発する。このシステムの効率はBRETスケールで計測。最高効率のロッド(BRETスケール44)は、近赤外域で発光した特別ロッドアーキテクチャ(rod-in-rod)で得られた。近赤外は、可視光よりも波長が長く、目には見えないが、ナイトビジョンゴーグル、望遠鏡、カメラ、医療イメージングなどでは重要。
開発した蛍-合成ナノロッドは両氏の化学実験室にしかない。追加研究によってこの化学反応(エネルギー転移)を長時間維持し、システムのスケールアップを行う方法を開発する予定。Maye氏によると、このシステムは化学エネルギーを直接光に換える将来技術として最も有望であり、LED光に代わる光るナノロッドという考えサイエンスフィクションではない。
「このナノロッドは、コンピュータチップ、太陽パネル、LEDライトに使われている同じ材料でできている。蛍コーティングナノロッドがLEDタイプのライトに挿入される日が、いずれ来る。すると、プラグに差し込んで電気をとらなくてもよくなる」とMaye氏は語っている。

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