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レーザと音響で、X線なしで乳癌のスクリーニング

May 11, 2012, Washington--X線マンモグラフィ(乳腺造影)は乳癌の重要診断ツールであるが、その効果に制限があり、これが難点となっている。例えば、診断結果が間違っていることがある。また、女性は電離放射線を浴び、安全とはされていてもリスクはともなう。
新しいイメージング機器の臨床テスト第1フェーズで、オランダのTwente大学とオルデンツァール(Oldenzaal)のMedisch Spectrum Twente Hospitalの研究グループは、胸部腫瘍検出と可視化のために電離放射線ではなく、光音響を用いた。研究グループは、悪性と診断された12人の患者の検査を行い、その暫定的結果は、この技術が高コントラストの腫瘍画像を映し出すことによって悪性組織を明確に区別できることを示し、概念実証がされたとして、OSAの雑誌、Optics Expressで報告されている。
Twente大学のPh.D.学生、Michelle Heijblom研究員は「この新しい技術の開発はまだ初期段階ではあるが、有望であると言える。これらの早期の結果がいずれ、胸部癌の診断で、従来技術に対して安全で、快適な、そして正確な代替技術に発展していくことを願っている」とコメントしている。
光音響学は、光と音響のハイブリッドイメージング技術であり、確立された赤色と赤外の光を用いる技術をベースにして組織を画像化し、腫瘍を検出する。この技術は光マンモグラフィと呼ばれ、血中ヘモグロビンが赤い、波長の長い光をよく吸収するので、これによって血管の密集腫瘍部分と正常な血管環境との差が鮮明になり、悪性腫瘍が発見できる。しかし、このアプローチで特定の部分をターゲットにして画像化するのは難しい。
これを改善する手段として研究チームは、光ベースのシステムの機能を統合し、優れたターゲティング機能を持つ超音波によって組織の良性と悪性との区別ができるようにした。この特殊機器、Twente Photoacoustic Mammoscope(PAM)は、2007年に初めてテストされた。
この計測器は病院のベッドに設置され、患者はうつぶせになり、胸のイメージングが行われる。1064nmのレーザ光が胸をスキャンする。悪性組織では光の吸収が増えるので、わずかに温度が上昇する。この温度上昇で、熱膨張が圧波となり、この圧波は胸の側面に設置した超音波ディテクタで検出される。結果として生じる光音響信号をPAMシステムで処理し画像化する。この画像によって、低強度(良性組織)に対して高強度(悪性組織)部分が明らかになる。この技術が乳癌患者でテストされたのはこれが初めてとなる。
光音響データを従来のX線診断、超音波イメージング、MRI、組織検査と比較することにより研究チームは、悪性腫瘍がはっきりとした光音響信号を出しており、乳癌診断に臨床的有用性があることを示した。また、悪性組織の光音響的コントラストは、従来のX線マンモグラフィと比べて鮮明であることが観察されている。
Heijblom氏は、「PAMが、乳癌診断と治療用の有益な臨床ツールとなるまでに若干の技術的改善が必要である。次のステップはこの改善を進めることで、その後、はっきりしない潜在的腫瘍、良性病変、正常な胸部を改良バージョンで評価することになる」とコメントしている。
(詳細は、Optics Express, Vol. 20, Issue 11, pp. 11582-11592 (2012).)

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