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NECなど、出力電流の均一性を高めたCNTトランジスタを印刷形成

April 20, 2012, 東京--技術研究組合単層CNT融合新材料研究開発機構(TASC)、産業技術総合研究所(産総研)、日本電気(NEC)は、出力電流の均一性を高めたCNTトランジスタをプラスチックフィルム上に印刷形成する技術を開発した。
カーボンナノチューブ(CNT)は電気的・構造的に優れた特性を持ち、省エネルギー・省資源・高生産性を特長とする印刷エレクトロニクスのトランジスタ材料として期待されている。TASC・産総研・NECはCNTの用途開発の一環として、大面積・フレキシブルデバイスなどを印刷により製造する技術である印刷エレクトロニクスへの応用をめざして、CNTトランジスタをプラスチックフィルム上に印刷形成する技術の開発を進めてきた。今回、CNTインクの印刷工程を高度化することにより、出力電流の均一性を高めたCNTトランジスタを印刷形成する技術を開発することに成功した。これはフレキシブル・大面積デバイスへの応用につながる成果。

開発技術の特長
・印刷時のコーヒーステイン現象(1)を抑制した均一なCNTチャネルの形成: CNTインクをインクジェットやディスペンサにより印刷すると、コーヒーステインと呼ばれる、印刷外縁部での密度増大が生じる。CNTの密度が増大すると、混在している金属型CNTによる短絡などにより、オンオフ比などのトランジスタ特性が劣化する問題があった。今回、CNTインクの印刷面にあらかじめ単分子膜(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)を形成することで印刷面へのCNTの吸着を促進し、コーヒーステインの形成を抑制してCNTチャネルを均一に印刷形成することに成功。また、CNTインクにはTASC・産総研・NECが開発した、金属型・半導体型CNT分離技術を用いて分離した、純度95%以上の半導体型CNTを用いた。従来、全ての構成要素を印刷で形成するCNTトランジスタでは非常に大きい出力電流のばらつきが課題となっていたが、この技術によりばらつきを30%に抑えることができた。
・界面活性剤除去工程の改良により、高速動作の指標となるキャリア移動度を向上: CNTインクには電気抵抗が高い界面活性剤が含まれているため、印刷後にこれを除去する必要がある。従来は熱処理と洗浄処理を組み合わせた除去工程を用いていたが、この工程を改良し、熱処理前にウェット処理を行う事により、デバイスの動作速度の指標となるキャリア移動度を3.6 cm2/Vs(オンオフ比1,000)まで向上することに成功。これは従来法での値(0.087 cm2/Vs)の40倍。ウェット処理によりCNTが互いに若干凝集し、CNT間の接触抵抗が低減したためと考えられる。

(1) コーヒーステイン現象: テーブル表面に付着したコーヒー滴が乾燥すると、リング状の汚れが残る現象。溶質を含む液滴が基板上で乾燥する過程では、液滴の縁での溶媒の蒸発が大きいため、液滴の中心から縁に向かう流れが生じ、それにともない溶質が液滴の縁に移動・蓄積するために起こる。
(詳細は、www.nec.co.jp)

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