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NICT、「ナノワイヤ作製キット」開発

February 23, 2012, 東京--情報通信研究機構(NICT)は、ナノスケールの単結晶であるナノワイヤを電極間に簡単に作製できる「ナノワイヤ作製キット」を開発した。
ナノワイヤ作製キットは、高真空系などの大掛かりな装置でなく、手のひらサイズの装置を用いて、基板上にナノワイヤを簡単に作製することができるキット。同キットの製造原理には、NICTが開発した「ナノ電解法」を用いており、この技術により、今後、電子ペーパーやディスプレイなどに利用される半導体を作製するプロセスにおいて、飛躍的な省エネルギー化・低コスト化が実現でき、更に半導体そのものの微小化・高性能化も実現できると考えられる。
今日、身近に使われているコンピュータや通信装置を更に小型化、高速化するためには、装置内部で使用する半導体の微小化を進める必要があるが、現在の半導体技術では微小化に限界があることから、そのための技術として分子を利用したナノデバイス技術が注目されている。これまで、NICTは、原子や分子の特徴を利用して、自ら集合させる「自己組織化」の手法により、溶液中でのナノスケールの有機デバイスを作成する技術「ナノ電解法」を開発し、高真空系などの大掛かりな装置を用いることなく低コスト・省エネルギーで高性能なナノデバイスを作成することを実現した。また、この技術の実用化に向け開発を進めてきた。
ナノワイヤ作製キットは、ナノ電解セル、電極基板及び電源から構成されている。ナノワイヤによる架橋を構築させたい電極基板をキットに接続し、ナノワイヤ原料溶液を入れたナノ電解セルに浸し、電源から交流又は直流を通電させることで、簡単かつ選択的に単結晶のナノワイヤを作製できる。キットを用いることで、装置コストは従来法(真空蒸着法やインクジェット法など)の1/100程度、配線の最小線幅は約十数ナノメートル(インクジェット法の1/1000程度)の微細加工が可能。
ナノワイヤの原料として、導電性材料を用いるとナノ配線を、半導体材料を用いるとトランジスタなどのナノデバイスを、作製することができる。また、従来法に比べて分子が規則正しく配列するため、作製されたデバイスそのものの特性の向上も期待できる。
NICTは開発されたキットの展望について、「ナノワイヤ作製キットを用いることにより、小型化・低コスト・省エネルギーで高性能なデバイス製造への新たな道が切り開かれ、ICTを中心とした豊かな社会の実現に大きく貢献できる」と説明している。

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