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理研、蛍光顕微鏡を用いず一般の顕微鏡で細胞の蛍光観察に成功

February 10, 2012, 和光--理化学研究所は、一般の顕微鏡の光源下に励起フィルタを取り付けるためのアダプターを開発し、蛍光顕微鏡を用いずに細胞を蛍光観察することに成功した。
これは理研発生・再生科学総合研究センターゲノム・リプログラミング研究チーム若山照彦チームリーダー、山縣一夫研究員(現大阪大学微生物病研究所 特任准教授)、近畿大学生物理工学部遺伝子工学科の佐伯和弘教授および大阪大学大学院生命機能研究科の木村宏准教授らの研究グループによる成果。
現在の生命科学研究では、蛍光色素による細胞の染め分けが不可欠。蛍光色素が発する蛍光を利用することで、細胞内の構造や分子の動きを可視化したり、がん細胞など特定の細胞を識別したりすることが可能になったが、蛍光を観察するには、高出力の水銀ランプやレーザなどの光源を備えた高価な蛍光顕微鏡が必要になる。高出力の光源は細胞へダメージを与え、長時間の観察を困難にする。また、研究費の少ない研究室や教育現場、発展途上国では、蛍光実験という先端の研究に参加できず、研究格差が拡大している。
研究グループは、通常の安価な顕微鏡に励起フィルタを取り付けるアダプターを開発し、マウス初期胚や精母細胞、卵子の蛍光観察に成功した。光源に低出力のハロゲンランプ(可視光)を用いているため、細胞へのダメージや蛍光色素の退色を最小限に抑え、マウス卵子を10分以上連続観察しても鮮明に蛍光を発する核を識別できた。さらに、励起フィルタとアダプターの間に隙間を作ってハロゲンランプの光が漏れこむようにし、ここを通る光の量を調節する「絞り」を付加した。励起フィルタと隙間を通る光の量のバランスを絞りで調節したところ、1つの光源で蛍光と可視光の同時観察が可能となり、蛍光標識した細胞内の器官と可視光で照らされた細胞全体を同時に観察することができた。その結果、経験の浅い人でもクローン動物の作製に必要な除核を確実に行うことができるようになった。
開発したアダプタは試料にやさしく、一般の顕微鏡に取り付けるだけなので、生命科学の発展や畜産工学技術の向上、蛍光実験の普及、学生の科学への興味喚起に貢献すると期待できる。このアダプタはオリンパス株式会社の協力によるもの。
(詳細は、『PLoS ONE』に掲載)。

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