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NIST、原子内部状態をレーザで操作

December 15, 2011, Gaithersburg--米国標準技術局(NIST)の研究グループが、レーザで原子の内部状態を操作する方法を発見した。この特殊な方法では、レーザは原子の相互作用に劇的な影響を及ぼすことができる。
光で操作される原子は、他の状況では調べることができない重要な現象を調べるプロキシとして使える。最近の成果(Science誌)は、量子計算に用いる超電導の物理にとって重要と考えられる新しい相互作用を実証している。
粒子の相互作用が物理学にとって基本となる、例えば、磁性物質や高温超電導がどのように働くかを決める。これらの相互作用、あるいは新たな「効果的」相互作用を作り出すことについて研究が進むと、研究者が特殊磁性あるいは超電導特性を持つ材料を設計することに役立つ。
ほとんどの材料は複雑なシステムであるので、構成電子の相互作用を調べたり、設計したりすることは難しい。このような特性を持つ材料がどのように動くかについて詳しく調べるためにNISTの研究者たちは、超冷却原子を使用して物理的な類似システムを構築した。
NISTのポスドク研究者、Ross Williams氏によると、冷却原子実験は多くの構体系研究に適している。理由として同氏は、原子の位置や振る舞いの制御性が高くなることを挙げている。
「まず、ルビジウム87原子を磁界に捉え、100ナノケルビン(nK)まで冷却する。この温度で原子はボーズ-アインシュタイン凝縮(BEC)となる。原子をここまで冷やすと原子の動きが緩慢になり、原子にレーザを当てて操作し、異なるエネルギー状態と混ぜ合わせる。原子にレーザを当てて操作することで、凝縮を分割し、2つの部分を衝突させ、さらにその相互作用を観察することができる」(Ross Williams氏)。
レーザを当てなければ、単純な低エネルギーの相互作用が原子の散乱を支配する。この状態では原子は相互にぶつかり合い、散乱してどの方向から見ても同じに見える一様な球を形成する。これでは、原子がどのように相互作用したかは明らかにならない。
しかし、レーザを当てると、原子は一定の方向に散乱し、興味深い形状を創る。これは新しい、より複雑な相互作用の影響を示唆するものであり、超冷却原子では通常見られないものである。これにより研究者は、このようなシステムにおける新たな励起量子現象の全容を研究することができる。
この研究では、研究者はルビジウム原子(ボソン)を用いたが、構想を変えて超冷却フェルミオン(fermions)、別の種類の粒子を研究しようとしている。研究グループの狙いは、マヨナラ粒子(Majorana fermion)の発見にある。
(詳細は、www.umd.edu)

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