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ナノテクノロジで高精度かつ波長可変特性を持つ“光源”を開発

December 14, 2011, 東京--情報通信研究機構(NICT)は、ナノレベル構造の半導体量子ドットを活用し、現在、光情報通信で利用されていない波長を含む帯域において、多くの波長の光を高精度に生成する光源の開発に世界で初めて成功した。
さらに、この光源とフォトニック結晶ファイバを利用した光伝送実験に成功し、光情報通信における新たな波長帯域利用の可能性を世界に先駆けて実証した。
今回開発した「量子ドット光源技術」によって、現在の光通信波長帯の約10倍の光周波数資源(約70THz)を確保でき、効率良く帯域を利用することが可能になる。また、量子ドットやフォトニック結晶ファイバはナノレベルの構造を持つため、ナノテクノロジ活用による光情報通信の技術革新が期待される。
現在の光ファイバ通信では、光信号の減衰やデータの歪みが少ない、波長1.55μm帯の10THzほどの帯域が利用されている。この波長帯で効率的に光信号を利用するための研究開発は進められているが、将来の超高速・大容量光情報通信を実現するには、このような対策だけでは不十分で、周波数資源不足が問題となっている。
NICTは、光周波数資源の新たな開拓とその効率的利用に関する研究として、広帯域ではあるものの伝送や光発生が難しく、実用化に至っていない光周波数帯域を有効に活用するフォトニクス基盤技術研究を実施してきた。
今回、NICTは、波長1.0~1.3μm帯で動作する光増幅材料として半導体量子ドットを活用し、広帯域な波長の可変性と、光周波数の効率的利用につながる高い光周波数の安定性を併せ持つ量子ドット光源の開発に成功した。この光源の要となる量子ドット材料の開発には、原子オーダー(サブナノレベル)で結晶構造を制御するため、NICT独自の「サブナノ層間分離技術」を用い、量子ドットの高品質化と従来比2倍ほどの高密度化を達成した。また、この光源と超広帯域光伝搬特性を有するフォトニック結晶ファイバを組み合わせた高速光データ伝送サブシステムの構築とエラーフリー光データ伝送に成功し、光情報通信における新しい波長帯域利用の可能性を確実なものとした。
量子ドットやフォトニック結晶ファイバなどのナノテクノロジを光ネットワークコンポーネントの基盤技術に活用することで、光情報通信に利用可能な光周波数資源の大幅な拡大や、光周波数の効率的利用による技術革新が期待される。さらに、この新しい波長帯域(1.0~1.3μm帯)は、人体の皮膚や水分の透過性が優れていることから、バイオイメージングや医療センシングなど、より身近な利用も期待される。
また、今回NICTが開発した「量子ドット光源」に関しては、光伸光学工業株式会社及びセブンシックス株式会社にてプロトタイプ装置を作製し、製品化に向けて技術移転展開を検討している。
(詳細は、『Optics Express』Vol. 19, Issue 26)

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