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暗視カメラの波長帯を増やすブレイクスルー技術

November 4, 2011, Evanston--ノースウエスタン大学量子デバイスセンタの研究者による最近のブレイクスルーで、暗視カメラで見ることができる光波長帯(カラー)が増えた。
カメラで使用されている半導体材料、タイプⅡ超格子は、チューニングすることで吸収できる赤外波長域を広げることができ、今は同時に多くの異なる赤外線域も吸収する。
異なる波長で同時に光を捉えるという考えは新しいものではない。可視域のデジタルカメラは通常、RGB光を検知するディテクタを搭載しており、人の目が感ずる幅広い色を再現することができる。しかし、赤外スペクトラムのマルチカラー検出は、色の再現を超えた独自の機能を提供する。このスペクトラムレンジには複合共振周波数が見られることがあり、このことは画像の中で化学分光がリアルタイムに中継されていることを意味する。
「複数の波長帯で行われる画像処理アルゴリズムと結びつけると、特定のシーンで表示される情報量は膨大なものになる」と同センタ電気工学・コンピュータサイエンスManijeh Razeghi, Walter P. Murphy教授は言う。
同教授の研究グループは、カメラの検出エネルギーをいわゆる長波長の赤外窓、1/10 eVとした。しかし、光吸収層が寄生効果を生じやすいのでカメラの実現は困難を極めた。ディテクタはスタックデザインとなっており、空間的にピクセル記録が同時になるが、成長および製造の難しさは著しく大きくなる。とは言え、デュアルバンド長波長赤外320×256サイズタイプII超格子カメラを世界で初めて実証することができた。
HgCdTe材料系ベースの同様の赤外光カメラは、2011年3月、日本で原子力発電所がツナミの被害を受けたとき、災害救済に使用された。これらのカメラは、無人車輌から原子炉の温度情報を正確に取得し、冷却やメルトダウン防止に必要な情報を提供した。
しかし、HgCdTeは、長波長赤外では高価な技術と見なされている。タイプⅡ超格子の効率が向上すると考えられる領域でスペクトラルの均一性と歩留まりの点で問題があるからだ。
「タイプⅡ超格子は、HgCdTeの場合と比べると、量子井戸の厚さをInAsとGaSbとで交互にすることでエネルギーギャップが決まるので、長波でも均一に成長することができる」とRazeghi氏はコメントしている。高分解能マルチバンドタイプⅡ超格子カメラのパフォーマンスは極めて優れたものであり、0.015℃の温度感度で1フレームとるのにわずか0.5msしかかからない。
(詳細は、www.northwestern.edu)

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