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カリフォルニア工科大学、冷却にレーザ光を利用

October 11, 2011, Pasadena--California Institute of Technology(Caltech)の研究者たちはウイーン大学の研究チームと共同で、レーザ光を用いて微小な機械的物体を最低エネルギー状態まで冷却することに初めて成功した。この成果は、高感度ディテクタの開発、研究者たちが以前から思い描いていた量子実験への道を拓くことになる。
Caltechの応用物理学教授、OskarPainter氏は「われわれは、何十億の原子からなる固体力学系を扱っており、光を使ってそれが量子力学の法則に従って動作する状態にした。以前は、こういうことはトラップした単一原子あるいはイオンでしか達成できなかった」とコメントしている。
研究チームは、ナノスケールの物体、微小なシリコンの梁を作って、慎重に周波数選択したレーザ光がそのシステムに入れるようにし、一度反射すると熱エネルギーを運び出してそのシステムを冷却できるようにした。
シリコン梁の各エレメントとパタン化されたシリコンシールドを慎重に設計してそれらが環境から隔離されるようにすることで、研究チームはレーザ冷却技術を使用して、そのシステムを量子の基底状態まで冷却した。その状態では、機械振動は絶対最小になる。そのような低温機械的物体は、微小な力や質量の発見に役立つ。通常であれば、センサの熱振動ノイズによりそのような微小な力や質量は隠されているからだ。
基底状態に達するには、梁を100ミリケルビン(-273.15℃)以下まで冷やさねばならなかった。梁はGHzで振動するように設計されており、室温では多くのフォトンが存在するからだ。フォトンは、最も基本的な振動単位であり、光の基本単位もしくは光パケットのほとんどはフォトンである。1つのシステムのフォトンのすべてを、基底状態まで冷却することで除去する必要がある。
従来の冷凍機でその温度まで冷却する方法も存在するが、高価であり、実用的な装置でないこともある。また、そのような低温機械的システムの計測法を考案するという問題もある。これらの問題の解決に、Caltechは別の冷却方法用いた。
光周波数のシフトは機械的物体の熱運動に直接関係するので、最終的にキャビティから出てくる光は、その機械的システムについての情報、つまり梁の運動や温度の情報を持っているので、研究チームは機械的エレメントへの効率的な光インタフェース、オプトメカニカル変換器(トランスデューサ)を実現できた。これにより機械的システムからの情報を光のフォトンに変換することができる。
重要な点は、光はマイクロ波や電子と違い、減衰なしでキロメートル長伝送できることだ。このようなオプトメカニカル・トランスデューサ(変換器)は、別の量子システム、例えば光システムを持つマイクロ波システムとのリンクに使える。
ナノメカニカルシステムを量子の基底状態まで冷却したのはCaltechチームが初めてではないが、今回の成果は光を用いて基底状態まで冷却した点で初めての成果である。
(詳細は、October 6 issue of the journal Nature)

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