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理研と名古屋大、“姉妹”光子の共同作業で観察波長の限界を突破

July 22, 2011, 播磨--理化学研究所(理研)と名古屋大学は、X線領域での非線形光学現象を利用して、波長206Åでその380分の1相当である0.54Åというこれまでの手法では到達できなかった超高空間分解能の顕微手法を開発した。
これは理研 播磨研究所 放射光科学総合研究センタ石川X線干渉光学研究室の玉作賢治専任研究員、石川哲也主任研究員の研究チームと名古屋大学大学院工学研究科の西堀 英治准教授による研究成果。
16世紀末に顕微鏡が発明されて以来、その分解能を向上させることは最も重要なテーマだった。1878年に、ドイツ・イエナ大学のE.アッベが、空間分解能は原理的に波長の約半分で決定され、それより細かいものは見ることができないことを示した。その後世界中の研究者は、この壁を打ち破るためにさまざまな手法を試みたが、いまだに波長の10分の1程度の空間分解能が限界。この分解能では「物質内の電子が光に対してどのように応答しているのか?(光学応答)」すなわち「なぜそのような色をしているのか?」を直接観察することができない。
この問題を解決するために、非常に強いX線が利用できる大型放射光施設Spring-8の理研ビームラインBL19LXUを用いて、1つの“親”光子が2つの“姉妹”光子に分かれるX線非線形光学現象を利用した新たな超高空間分解能顕微法を開発した。この手法では、長い波長の“妹”光子がモノに作用し、“姉”光子がその様子を観察するというように、“姉妹”光子が分担して共同作業をする。この時“姉”光子はX線であるため、非常に高空間分解能で観察することができる。実際にダイヤモンドにX線(“親”光子)を照射し、“妹”光子が極端紫外光(206Å)になる場合を調べ、内部の電子の挙動を個別に観察することに成功した。
これにより波長の限界をはるかに超えた超高空間分解能顕微鏡が実現可能であることが示された。今後のさらなる測定技術の進歩により、物質の光学応答を直接観察し、物質のより深い理解と高度な利用に貢献すると期待される。
(詳細は2011年7月17日英国科学雑誌「Nature Physics」オンライン)

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