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ウイルスも殺し、DVDストレージにも使える新しいレーザ

July 8, 2011, Riverside--カリフォルニア大学リバーサイド工学部(Bourns College of Engineering)教授の研究チームが半導体ナノワイヤレーザ技術の研究成果を発表した。この新しいレーザは、ウイルスを殺すことから、DVDのストレージ容量向上にまで寄与することが期待されている。
UV半導体ダイオードレーザは、データ処理、情報蓄積、生物学に幅広く用いられている。しかし、これらのアプリケーションは、サイズ、コスト、パワーの制約を受けている。現行世代のUVレーザは、GaN材料ベースだが、電気工学教授、Jianlin Liu氏の研究チームは、酸化亜鉛(zinc oxide)ナノワイヤ導波路レーザでブレイクスルーを達成した。これによりサイズの小型化、コストの低下、高出力化、短波長化が可能になる。
これまで酸化亜鉛ナノワイヤは、すべての半導体で必要となる材料P型がないため、発光には使えなかった。Liu教授は、酸化亜鉛ナノワイヤにアンチモン(Sb)をドープしてP型材料を造ることでこの問題を解決した。
P型酸化亜鉛ナノワイヤをn型酸化亜鉛材料と接続してpn接合(p-n junction)ダイオードデバイスを実現。電気駆動でナノワイヤの端面から高指向性レーザ出力が得られた。
同教授によると、過去10年にわたり世界中の酸化亜鉛研究者たちがこのような成果を目指して努力してきた。「この発見は、この技術を推し進める全分野を刺激することになろう」とコメントしている。
今回の成果のインパクトはストレージ、生物学、フォトニクスなど幅広い分野に及ぶ。情報ストレージでは、UVは波長が短いので、例えばこれまで2時間の音楽を記録していたDVDは、この新しいタイプのレーザを使うと4時間ないし6時間の記録ができる。生物学や内科治療では、レーザ光が生体細胞を透過したり、細胞を活性化させたり、機能を変えたりできる。また、飲料水の浄化もできる。フォトニクスでは、UV光は超高速データ処理、伝送に使える。高信頼の小型UV半導体ダイオードレーザは、UVワイヤレス通信技術の開発促進に使える可能性もあり、現在様々な電子情報システムで使用されている最先端の赤外線通信技術よりも潜在的に優れている。
研究室のLiu教授と学生たちは酸化亜鉛のP型ドーピングと電気駆動ナノワイヤ導波路でUV発振を実証。同教授によると、P型材料の安定性と信頼性に関連して今一段の開発が必要とされている。
(研究成果は、Nature Nanotechnology 7月号に掲載されている)

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