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真の青色発光でOLEDディスプレイを次世代家電に

June 29, 2011, Singapore--シンガポールのIMRE(Institute of Materials Research and Engineering)とミシガン大学(University of Michigan)は、最大理論効率限界の2倍の発光効率を実現した青色有機EL(OLED)を開発した。これにより、家電市場向けOLEDディスプレイの長寿命化、効率と迫真性向上に道が拓ける。
シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)の研究機関IMREと米国ミシガン大学の研究者は、蛍光青色OLEDデバイスの効率が9.4%となることを実証した。これは、現在のOLED外部量子効率(EQE)理論限界の約2倍。研究者たちは、発光層の厚さを変えて同じレイヤの発光材料の濃度を最適化することでOLED効率を現在の最大5% EQEの2倍にできることを発見した。
この成果によりフルカラーOLEDディスプレイメーカーは新しい蛍光材料を使って、大幅に寿命が長く、消費電力が低いデバイスを実現することができる。さらに重要な点は、このOLEDディスプレイが、LCDやLEDと比べて、明るく純然たる青色を発光し、より現実に近い色を実現できる点にある。材料は溶解法で処理できるので製造も容易であり、経済的でもある。消費市場におけるOLEDディスプレイの注目度が格段に高まる。
IMREのシニアサイエンティストで、この蛍光OLED開発の主席研究員の一人であるDr. Chen Zhikuanは、現在のOLEDディスプレイの問題点として、LCDやLEDディスプレイに比べて青色エミッタの寿命が短く色品質が劣る点を挙げている。「われわれのブレイクスルーにより、OLED TVはコンシューマディスプレイで次の波になり、間もなく家庭に登場することになろう。青色エミッタも、TV、モニタ、LED照明など他のデバイスでも幅広く使用される」とコメントしている。
現在のOLEDディスプレイは、燐光材料か蛍光材料ディスプレイのいずれかとなる。燐光OLEDは効率が11%に達しているが、青色発光の安定性が低く、寿命が短く、色品質がよくない。青い色の光はバンドギャップが広いので、低いエネルギーでは効果的な青色発光にはならず、効率が低く、寿命も短い。独自の材料設計とコンピュータシミュレーションにより、研究者たちは新しいOLEDデバイスを作製することができた。この新しいデバイスは、9.4% EQEで純度の高い蛍光青色を発光することができる。蛍光材料は、燐材料に比べて安定度が高く、寿命も長い。開発した青色エミッタは溶解法で作製できるので、ローコストの印刷法を使えば製造が容易であり大型のディスプレイが作製可能。
(詳細は、Advanced Functional Materials誌)

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