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東北大と島津製作所、超高速動画撮影CMOSイメージセンサ開発

April 6, 2011, 仙台--東北大学大学院工学研究科技術社会システム専攻の須川成利教授は、最高2000万コマ/秒の超高速動画撮影が可能なCMOSイメージセンサを島津製作所と共同開発した。この成果により、1μs以下の短時間で起こる物質の変形、破壊や放電などの超高速現象の詳細な機構が解明され、新たな材料や加工技術の開発が促進されるものと期待される。
1000~1万コマ/秒の動画撮影が可能な高速度ビデオカメラは放送やスポーツ科学、自動車衝突実験などで利用されているが、材料科学や生命科学、マイクロマシン技術の分野において、各種材料や細胞の挙動、衝撃波や放電に伴う物理現象を解明するために、100万コマ/秒を超える超高速の撮影装置が必要とされている。従来このような装置として、記録コマ数分のイメージセンサを内蔵したカメラがあったが、記録コマ数が極端に少ないため研究者が現象を確実に捉えることが難しく、装置が大型で使いにくいという問題があった。一方、記録コマ数が100コマを超えるイメージセンサを搭載の小型カメラも市販されているが、撮影速度は最高100万コマ/秒程度に留まっている。
イメージセンサによる動画撮影は、入射光によって生じた電荷(電子または正孔)を集めて、その量を電気信号に変換する画素、多数の画素から電気信号を送り出す伝送線、送られてきた電気信号を1コマずつ記録するメモリ、これら3つの要素によって成り立っている。撮影速度は、画素で電荷が集められる速さと、伝送線の本数と速さによって決まる。通常のイメージセンサではメモリが外部にあるために、伝送線の本数がセンサの出力端子の数で制約され、撮影速度を上げることができない。新開発のイメージセンサは、メモリを内蔵し、撮影中にそのメモリに記録した電気信号を、撮影後に外部に読み出す方法を取ることにより、出力端子の数の制約を受けない超高速の動画撮影を可能にした。これまでにも同様の概念のCCDイメージセンサで100万コマ/秒程度の撮影速度を実現した例があったが、CCDイメージセンサは消費電力が大きいため、発熱の問題からそれ以上の高速化が困難。この研究では消費電力が少ないというCMOSイメージセンサの特長を活かし、伝送線における電気信号の劣化を最小限に抑える設計により、大幅な速度向上を実現。また同時に、画素内部の電界分布(電荷を動かす力の分布)を最適化し、画素内の電荷が集められる時間を大幅に短縮した。以上の結果、従来のCCDイメージセンサに比べ20倍の2000万コマ/秒の撮影速度を実現することに成功した。
今後は、この研究の成果をもとに超高速撮影装置の実用開発が行われる。
(詳細は、www.jst.go.jp)

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