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アイントホーヘン大学が巨大レーザに代わる「廉価版X-FEL」開発

December 27, 2010, Eindhoven--自由電子レーザ(X-FEL)は、1km長の電子加速器を用いて活動中の分子の像を見ることができる。米国のスタンフォード大学などで建設されているX-FELは何億ドルもする高価なものだ。アイントホーヘン工科大学(Eindhoven University of Technology:TU/e)の研究者は、X-FELと同様のことができる代替レーザを開発した。
 この代替レーザは、卓上サイズであり、コストは約50万ユーロ。このため、研究者たちは「廉価版X-FEL」と呼んでいる。
 これは数少ない科学の「至高の目標」の1つであり、このシステムは超高速ビデオ顕微鏡と言ってもよい。この種のシステムは可視光の代わりにX線か電子を使用する、その理由は波長1nm以下の照射を必要としているからだ。X線もしくは電子は、露光が極短時間となるように超短パルスで放出される必要がある。しかし、このようなパルスの生成は簡単ではない。X-FELはこの目的にX線パルスを使用する。1kmもしくはそれ以上に長い加速器で電子を加速することで生成する。つまり、これらの電子がX線に変換される。この種の装置の導入は非常に高価であり、使用するエネルギー量も大きく、チーム全体で運用する必要がある。数十億ユーロを投じる欧州のX-FELは、現在ハンブルクに建設中。
 TU/eの博士志願ir. Thijs van Oudheusden(応用物理学)は、dr.ir. Jom Luitenのアイデアをベースに、この数十億ユーロの設備に多くの点で張り合うことができる装置を開発した。この「廉価版X-FEL」の最も重要な特徴は、X線の代わりに電子を使う点にある。「電子そのものが使えるなら、どうして電子をX線に変換するのか」とVan Oudheusden氏は問う。「電子には低エネルギーしか必要でなく、加速もわずか1㎝でよい。システム全体が卓上サイズにできる理由はここにある。」
 Van Oudheusden氏が乗り越えなければならなかった物理的な障壁は、電子バンチ内の電子の相互反発だった。これは電子バンチを広げ、結果として電子バンチが所望の100fsよりも長くなる、これはビデオ顕微鏡がスローになりすぎることを意味する。Jom Luiten氏は、この不適切な拡張を防ぐ解を考えついた。解決の鍵は、適切な形状のバンチを正確に創ることにあった。バンチは、電界で制御することで所望のタイプや長さのバンチに集中させることができる。シングルショットで回折パタンを形成するには100万程度の電子で十分だ。
 研究チーム長、Mamix van der Wiel教授は、X-FELを利用して行われるこの種の研究の1/2~3/4は「廉価版X-FEL」でもできると主張している。「米国のスタンフォードのX-FELはノンストップで一年中稼働しており、何千もの研究者が何十年にわたり使用する。われわれのシステムは、自分の研究室で自由に研究したい人にとっての格好の代替システムだ。」
 TU/eスピンオフ、AccTec BVは、Van Oudheusden氏とLuiten氏が開発したマシーンを製品化して販売する予定。AccTecによると、価格は50万ユーロ以下。
(詳細は、Technische Universiteit Eindhoven University of Technology)

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