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物質材料研、水晶波長変換デバイスで波長193nm真空紫外光を発生

September 16, 2010, つくば--物質・材料研究機構光材料センターの栗村直主幹研究員、ニコン原田昌樹研究員、ニデック足立宗之研究員、らは、水晶のツイン(双晶)を微細制御したレーザの波長変換デバイスを実現し、真空紫外波長193nmの発生に成功した。
 半導体微細加工、眼科治療用紫外レーザやレーザ加工用高出力レーザへの応用が期待される。大型光源を10分の1程度に小型化でき、組み込み光源への展開が可能になる。
 物材機構は、強誘電体単結晶における分極反転技術を有し、分極反転波長変換デバイスの研究開発で世界の先導的立場にある。レーザの波長変換では、中赤外から通信波長の近赤外、可視域、紫外域まで広範な波長域をカバーしており、材料、デバイス形態に関しても様々な種類をカバーしている。これらの中で、今回、水晶を用いたバルクの波長変換デバイスにおいて波長193nmの真空紫外波長を発生することに成功した。
 従来の強誘電体単結晶であるタンタル酸リチウム系材料を用いた紫外波長変換デバイスでは、波長260nm以下では吸収が激しく使用できなかった。これ以下の波長では水分に弱いホウ素系またはフッ素系材料が用いられていた。水晶は宝石としても用いられるほど熱的、化学的に安定で、光に対しても透明なので(紫外150nmまで透明)、デジタルカメラの光学フィルターやクオーツ時計の発振子として広く利用されている。しかし真空紫外波長発生では、位相整合がとれないため効率化が難しく、これまで波長変換に用いられてこなかった。
 強誘電体の分極反転構造と同様な構造を水晶に作製できれば位相整合が可能になり、波長300nm以下の紫外領域にも対応できる波長変換デバイスとなる。今回、研究チームは、水晶に人工的にツイン構造を作製することにより、分極反転構造と同等な極性反転構造を微細周期で形成することに成功した。強誘電体では電界を印加するのに対し、水晶では応力を印加させて反転構造を作製する独自の手法を開発した。地下の地盤などでも応力により生じた水晶ツインが観測されるため、地震予知の可能性を求めてツインの研究がなされているが、この現象を新しい視点から全く異なる応用分野へ展開した。
(詳細は、www.nims.go.jp)

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