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光によって有毒ガスなどの気体を自在に捕捉・分解する材料の開発

July 27, 2010, 東京--科学技術振興機構(ジスト)課題解決型基礎研究の一環として、JSTと京都大学は光照射によって有毒ガスなどの気体分子を捕捉・分解できる多孔性物質を開発した。開発にあたったのは、京都大学物質−細胞統合システム拠点(iCeMS)の北川進副拠点長/教授、JST戦略的創造研究推進事業 ERATO型研究「北川統合細孔プロジェクト」の松田亮太郎 グループリーダー、同プロジェクトの佐藤弘志研究員。
 この多孔性物質は、亜鉛イオンと有機配位子(アジドイソフタル酸(AIP)およびビピリジン)で構成され、紫外光を照射することによって、内部のナノ細孔中に極めて反応活性の高い化学種(ナイトレン)を非常に多く作り出すことができる。ガス中で紫外光照射実験を行った結果、細孔表面のナイトレンが酸素(O2)や一酸化炭素(CO)を効率的に捕捉・分解できることが分かった。また、大型放射光施設(Spring-8)の高輝度放射光を用いて紫外光照射による細孔表面の構造変化を詳細に分析することによって、高活性で不安定なため観察が難しいとされるナイトレンが細孔表面に整然と並んでいる様子を直接観測することにも成功した。
 従来の多孔性物質では、温度や圧力を変えることで吸着現象を制御していたが、同研究で開発した多孔性物質は、紫外光によって吸着現象を制御できる。
 この成果を応用することによって、今後、大気中のさまざまなガス(O2, CO, NOx、SOxなど)を効率的に分離・除去することが可能になり、人類の健康と地球環境の改善に貢献する材料開発につながるものと期待される。
 プロジェクトでは今回、多孔性金属錯体に紫外光で活性化する分子を組み込むことで、通常実現不可能な超高活性な吸着物質を合成するだけでなく、光に応答してO2やCOを捕捉・分解する、全く新しい多孔性物質の開発に取り組んだ。

得られた主な成果は、以下の通り。
(1)紫外光照射によってナノ細孔表面を活性化できる多孔性金属錯体の合成に成功。
(2)精密な単結晶構造解析によって、ナノ細孔表面に整然と並ぶ超高活性種(ナイトレン)の様子を明らかにした。
(3)紫外光照射によってナノ細孔表面を活性化し、生じさせた化学種(ナイトレン)によって、ナノ細孔に物理吸着した酸化性ガスのO2や有毒ガスのCOを捕捉・分解することに成功。
(4)本来吸着現象を発現しない温度領域においても、紫外光照射によって細孔表面を活性化することで、吸着現象を発現させることに成功した。
(詳細は、www.jst.go.jp)

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