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汎用製造技術を用いたZnO系紫外発光ダイオードの高輝度化を実現

June 30, 2010, 仙台--東北大学原子分子材料科学高等研究機構の川崎 雅司教授は、ローム株式会社および同大学金属材料研究所と多元物質科学研究所と共同で、半導体素子製造の汎用技術である分子線エピタキシー(MBE)法を用いて酸化亜鉛(ZnO)系紫外発光ダイオード(LED)の作製とその高輝度化に成功した。今回の素子には導電性ZnO基板が使用されており、今後の安価な短波長発光素子応用につながる成果と言える。
 LEDは半導体素子の1つで、p型とn型に導電性制御された半導体の積層構造で構成されている。この素子に電流を印加することで半導体の禁制帯幅と同じエネルギーの光へと変換することができる。近年では、窒化ガリウム(GaN)系青色LEDと蛍光体を利用した白色LEDが液晶ディスプレイのバックライトや照明用光源として利用され、ブラウン管や蛍光灯に比べて大幅な省電力化が可能になっている。ZnOは紫外線領域の禁制帯幅を有することから、励起できる蛍光体の選択幅が広がることでバランスのより良い白色光源が作製でき、さらなる省電力化の実現が期待されており、高輝度の紫外LEDの量産化に向けた汎用技術の応用開発が必要となる。ZnO系材料は、一般的にp型化が困難であり、禁制帯幅がより大きなマグネシウム(Mg)を添加した酸化亜鉛(MgZnO)においてもp型化技術が確立しておらず、高輝度の紫外LEDが実現できていなかった。
 研究グループは今回、市販の導電性ZnO基板上でMBE法を駆使してMgZnOのp型化することに成功し、紫外LEDの輝度の大幅な改善を達成した。これは2004年に東北大学が開発したp型ZnOを用いたLEDと比較して、発光波長が紫外領域に伸び、輝度は1万倍以上に達している。半導体素子の製造に適した手法を用いるとともに、p型伝導性制御のための窒素供給源としてアンモニアガスが有用であることを見いだした。LED発光素子からの純粋な紫外線により緑色の蛍光体を励起することにも成功し、白色LED用紫外線光源としての可能性を示した。
 今回の成果はMBE法におけるアンモニア供給の有効性をLEDの発光強度改善によって示したばかりでなく、市販のZnO導電性単結晶基板が高品質結晶成長に有効であることが確認された。今後の応用に向けては、大電流印加のための正孔濃度増大や発光素子としての動作安定性を改善していく必要があるが、汎用的手法で汎用基板上の素子発光効率が示された今回の結果は大きな前進と捉えることができる。また、同様の手法を用いることで、LED以外のZnO系量子構造の物性研究が大きく進展することが期待される。
(詳細は、www.jst.go.jp)

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