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NIST/JILA、ダークパルスレーザを実証

June 14, 2010, Boulder--米国標準技術局(NIST)/JILA(NISTとコロラド大学の共同研究所)の研究者は、光を生成しないという特長を持つ新しいタイプのパルスレーザを実証した。
 この新しいデバイスは、持続的な「ダークパルス」ストリーム(光強度のディップの反復)を生成する。これは一般的なパルスレーザのバースト的高輝度パルス(ブライトパルス)の対極になる。
 ダークパルスレーザは、赤外の周波数では、害のない通信、計測用のツールと見なされている。このレーザの超短パルススパンは90psであるので、短いタイムスケールでの計測に適している。また、ダークパルスは、信号処理で使える可能性がある。ブライトパルスと違い、ダークパルスは一般に歪なく伝搬するからだ。さらに、ダークパルスは光ネットワークの連続光でカメラのシャッターのように使える可能性もある。
 NIST/JILAの技術は、半導体レーザキャビティから直接ダークパルスを生成する、初めての技術であり、電気的、光学的にパルスシェーピングを行っていない。チップサイズの赤外レーザが数百万量子ドット(qdots)から光を生成する。Qdotsは、NISTで作製されたナノ構造の半導体材料。
 この新しいNIST/JILAレーザでは、レーザにわずかな電流を注入するとqdotsが発光する。Qdotsはほぼ同じサイズ(約10nm)。個別の原子として振る舞うように設計したナノ構造であるため、全てのqdotsが同じ周波数の光を出す。電流は、ドットの集合からの発光を増幅できるだけのエネルギーを持っており、特別な性質を持つレーザ光となる。
 この新しいレーザは、これまでにないqdotsのエネルギー力学に依存するものであり、これによってダークパルス安定効果が得られる。発光後、qdotsは約1psでエネルギーを回復するが、レーザキャビティ外からのエルギー注入が約200psとかなり遅い。このため、全体的なエネルギー利得は、徐々にエネルギー損失になってしまう。結果的に、このレーザは一定の反復的な短い強度ディップ、背景の連続光から約70%のディップになる。
 このダークパルスレーザは、NISTのqdots成長および半導体レーザ設計・製造の専門家と、JILAの超高速レーザ関連計測技術の専門家とが密接に協働して開発した。
 このパッシブモードロック量子ドットダイオードレーザの詳細は、OPTICS EXPRESS 13385に発表されている(Mingming Feng et al., 21 June 2010/ Vol.18, No.13/OPTICS EXPRESS 13385)。

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